新たなキャッシュレス化のニーズ掘り起こし事例

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

 日本郵船が2019年内に電子決済ビジネスに参入する。ターゲットとするのは貨物船の船員だ。ドルの現金払いが中心の給与支払いや、船内の買い物を、スマートフォン(スマホ)を使ったQRコード決済などに切り替える(5日付日経新聞電子版)。

 これはなかなか興味深いキャッシュレス化の事例となりそうである。国内で一般個人にQRコード決済などのキャッシュレス化を普及させるためには、それが必要とされるニーズが求められる。それを使いたいとするインセンティブが必要となるが、一時的なキャッシュバックなどでは、なかなか普及させることは難しいと思われる。

 しかし、今回のような船上という閉ざされた空間、さらにグローバル化が進んでいるところでのキャッシュレス化のニーズは意外に高いと思われる。日本の海運会社の貨物船で働く船員はその多くがフィリピンなど海外の人であり、給与は通常、現金で支払われているそうである。

 船に多額の現金を持ち込むことにもリスクがあり、これがQRコード決済で行われれば、そのリスクは軽減される。また給与をもらった船員はスマホ決済を利用することで、それを下船する時間がなくても家族への送金ができるようになる。また、立ち寄る港の小売店などでも使えるとなれば、QRコード決済で済ませる事例も多くなろう。

 開発する日本郵船も使用時の手数料が手に入るが、それよりもこれをきっかけとして、独自のQRコード決済のグローバル展開も視野に入るのではなかろうか。

 日本国内ではいたるところで現金を使うことが出来る。現金を引き出すことも容易であり、特に決済には不自由することはない。しかし、船舶のような閉ざされた空間などではQRコード決済への新たなニーズが掘り起こされる可能性がある。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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