ファーウェイ騒動にみる米中貿易戦争の行方

(写真:ロイター/アフロ)

 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国の制裁措置による影響であるが、20日のロイターの記事により、グーグルがファーウェイへのソフトの提供など一部ビジネスを停止することが明らかとなった。

 ファーウェイの主力は通信基地局であり、こちらは一時世界一のシェアを誇っていた。また、出荷台数が世界で3番目に多いスマホメーカーでもある。私もiPhoneのサブ機として、「HUAWEI nova lite 3」を使っている。このため、今回の米国による中国への制裁措置による影響、特にOSとして使われているアンドロイドがどうなるのか気になっていた。

 米商務省はファーウェイが既存ネットワークの保守や既存のスマートフォン向けのソフトウエア更新を行えるようにする一時的な措置を発表した。これはファーウェイの既存顧客を支援するための措置で、米政府が前週発表した同社への規制を緩和するものとなる。一時的措置は8月19日まで認められる(ロイター)。

 どうやら8月19日までは既存の機種のアンドロイドの更新などは可能なようである。すでに販売された機種でのグーグルなどのアプリも利用は可能のようである。しかし、今後新たに販売されるファーウェイのスマホにはアンドロイドが乗せられなくなる可能性がある。そして、8月19日以降は既存機種もアンドロイドの更新などができなくなる恐れがある。

 ファーウェイのスマホの半分程度は日本を含む中国外で販売されているようであるが、OSにアンドロイドが乗せられないとなれば、利用価値は減少しよう。販売台数にも影響が出るとみられ、部品をファーウェイに供給しているメーカーにも影響が及ぶことが予想される。

 いろいろと問題が指摘されているファーウェイのスマホではあるが、その性能は高く、価格も抑えられていることでコストパフォーマンスが良い。ファーウェイのスマホが使えなくなっても、代わりはいくらでもあろうが、低価格で高性能という端末はなかなか出てこないのも事実である。

 ファーウェイについては端末だけでなく基地局も使えなくなるなど、部品などを供給している日本にも少なからず影響が出てくることが予想される。これはそれだけ中国の技術が向上しており、覇者であった米国も対抗措置を取らざるを得なくなったということでもあろう。

 トランプ政権はやや極端に走りがちではあるが、これが違う大統領であっても中国への対抗措置は取らざるを得なかった可能性がある。覇権争いのため、米中の貿易摩擦はいずれにしても避けられないものであったのではなかろうか。

 そうであれば、この問題は一時的なものというよりもかなり根深いものとなる。ただし、関税を掛けるだけではいずれ体力勝負となってしまう。世界経済にも悪影響を及ぼしかねない。お互いがうまく共存できる道を探る必要もあるが、これもなかなか容易ではなさそうである。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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