キャッシュレス決済の導入を躊躇する大阪の中小企業

(写真:つのだよしお/アフロ)

 10月に予定される消費増税に合わせて政府が始めるキャッシュレス決済時のポイント還元策。だが、大阪市内の中小企業の4割が、キャッシュレス決済を導入しないと、大阪商工会議所の調査に回答したと朝日新聞が伝えた。

 「導入しない予定」と回答した40%の企業に理由を聞いたところ、「客単価が少額なのでニーズがない」「手数料が高い」「暗証番号の取り扱いなどが煩雑で、扱える店員がいない」などの答えがあったそうである(19日付朝日新聞)。

 果たして、これは大阪だけの傾向なのか、それとも全国的にも同様の結果が出るのかはわからない。しかし、一時的なポイント還元策だけでは、特に中小企業にとってキャッシュレス決済を導入することに対して躊躇せざるを得ないと思われる。

 QRコード決済を主体に新たなキャッシュレス決済方式が乱立しているが、これは政府によるポイント還元を睨んでの動きともいえる。しかし、これに対して一部の消費者は動きを見せても、商店側としてはそれほど導入意欲を強めるものとはなってはいないと思われる。

 客単価が少額でも気軽に使える必要があるとともに、手数料についてもできればゼロに近いものとなるのが理想となろう。その手数料の代わりに、キャッシュレス決済を行う企業は顧客の購入データや、キャッシュレス決済を入り口にしてあらたなビジネスに導入させるなどの工夫が求められるのではなかろうか。

 暗証番号の取り扱いなどが煩雑という点については、慣れも必要かもしれないが、やはり工夫が求められよう。たとえばFelicaを使う方式であれば、端末にかざすだけで決済が完了することも確かである。

 QRコード決済は乱立はしているものの、いまのところそれが大きなウエーブを形成するというほどのものとはなっていない。とりあえず決済方式を作れば良いというかたちとなってはいまいか。決済だけではなく、それに付随したあらたなニーズの掘り起こしなども行っていかないと、なかなか消費者も商店側も導入するインセンティブを得られないのではなかろうかと思う。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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