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PayPayは本日より第二弾100億円キャンペーンを開始、日本でのキャッシュレス決済の行方

久保田博幸金融アナリスト
(写真:YUTAKA/アフロ)

 PayPayはモバイル決済サービス「PayPay」の支払額の最大20%をPayPayの残高として還元する「第2弾100億円キャンペーン」を2月12日から5月31日まで行うと発表した。銀行口座を登録するなどしてPayPayの残高で支払う場合、還元率が20%になる。Yahoo! JAPANカードの場合は19%、その他のクレジットカードの場合は10%。いずれも還元額の上限は1回当たり1000円にする。キャンペーン期間中に還元を受けられる総額は5万円まで。

 第一弾と比較して、還元額の上限や還元を受けられる総額に制限を加えることにより、一度に高額商品を購入して還元を受けるのではなく、小額利用の頻度を上げることで還元を得られるような仕組みとなっている。

 QRコード決済やICカードによる決済は、比較的少額での取引に使われることが多いとみられる。1万円を超すものはクレジットカードの利用が今後も多いのではなかろうか。

 PayPayによるキャンペーンなどはQRコード決済の認知度を広めることに寄与しよう。比較的若い世代でのQRコード決済の拡大も望めるものと考えられる。しかし、QRコード決済が日本国内で定着するのかといえば、まだハードルは高いと思われる。

 まったくキャッシュレス決済が行われていないのであれば、QRコード決済が一気に拡大する可能性はある。しかし、日本国内でのキャッシュレス決済は普通に行われている。通勤電車を利用している人は最低でも1枚は交通系の電子カードを保有していよう。スーパーやコンビニが発行する電子カードを持っている人も多いはずである。

 そこにQRコード決済が果たしてどこまで食い込めるのか。もし何かしらのQRコード決済のシェアが大きくなれば、使い勝手の良いものが一気に普及するかもしれない。ただし、高齢者などの電子カードによる決済の使用頻度が高くなっているように、スマートフォンでの決済について現状では高齢者の利用を見込みづらいことが難点となる。

 現在のところ、電子マネーなどのカードをたくさん持ち歩く必要はあるものの、これを統一しないとどうにも不便という状況にもない。それでもキャッシュレスが進んでいるとされる中国やスウェーデンなどと同様にある程度、統一された決済が望まれることも確かである。

 日本は地震などの自然災害も大きいことから、非常用も意識しての一定額の現金の保有は必要なものとなり、ある程度の現金決済は残るものと考えられる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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