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2019年はQRコード決済、スマホ決済元年となりうるのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 昨年12月のQRコード決済「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」が大きな話題となったが、ここにきてQRコード決済に関する新たな取り組みもいくつか始まっている。

 NHKのサイトでの特集「スマホ決済は地方を救う?」によるとスマホ決済は、地方では「活性化の切り札」として独自の広がりを見せているとして、その例として岐阜市のショッピングセンターにおける動きを報じていた。

 サイトで調べたところ、このショッピングセンターとは「マーサ21」というところのようである。去年10月から館内まるごとでスマホ決済を導入。100余りのテナントのほとんどでスマホ決済が可能となっているそうである。

 仕掛けたのは地方銀行の「大垣共立銀行」で、QRコードによるスマホ決済アプリを展開するベンチャー企業「Origami」と業務提携し、このアプリの導入を一気に進めたそうである。

 銀行職員がお店に出向いて、スマホ決済アプリの登録方法や使い方などを伝授したとか。ショッピングセンターの運営会社も、タブレット端末を各テナントに無料で貸し出すなどキャッシュレス化を後押し。キャッシュレス化を導入したことで、客数が伸び、前の年と比べて館内全体の売り上げが10%ほど増加したとNHKは報じている。

 また、楽天は自社が運営する2つのスタジアム内での買い物について、現金での支払いの受け付けをやめスマートフォンなどで支払いをするキャッシュレス決済を原則とすることになったと、こちらもNHKが報じた。

 利用できるのはクレジットカードのほか、楽天が事業化している電子マネーとQRコード決済。スタジアム内のおよそ150の店舗すべてに専用端末を置くほか、100人を超える観客席の売り子にも端末を用意するとか。

 中国のキャッシュレス化を推し進めたQRコード決済も当初は乱立していたものが、「WeChat Pay」「Alipay」に絞られたように、日本でも多くのQRコード決済が出てきているが、いずれ使い勝手のよ良いものに集約されていくのであろうか。

 今年は日本でのQRコード決済元年というかスマホ決済元年になるかもしれない。しかし、日本はキャッシュレス化が遅れているわけではない。既存のキャッシュレスの仕組みのなかで、どれだけQRコード決済が組み込めるかが試されることになるのではなかろうか。

 中国のキャッシュレス化はパソコン利用の普及が進むのが遅れた分、スマホの普及が急速に進み、スマホでのネット利用が爆発的に普及したことも要因とされている。

 日本ではネットといえばパソコン利用が先行しており、個人的な見方かもしれないが、スマホのアプリで、ゲームなど以外の現金などの利用はやや躊躇されているのではなかろうか。このあたりの認識が変われば、金銭取引などでもスマホ利用が多くなってくるのかもしれない。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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