FRBの利上げ停止の可能性も

(写真:ロイター/アフロ)

 FRBは19日のFOMCで政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25~2.50%のレンジへ0.25%引き上げた。この利上げそのものは予想通り。市場は今後の利上げペースがどうなるのかを注目していた。

 ドットチャートと呼ばれる、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準をドットの分布で表現したグラフによれば、2019年の利上げ見通しは前回予測の3回から、今回は2回となった。さらに中長期的に適切とみる政策金利の水準を2.75%と、9月時点の3.0%から引き下げた。

 しかし「いくらかのさらなる段階的な」(some further gradual)」利上げが必要になるとの認識も示し、利上げ継続との姿勢を示した。

 ただし、FOMC声明文には「世界景気や市場動向を注視し、景気見通しへの影響を分析する」との表現が加わり、今後の景気減速への懸念とともに、株式市場の動向等にも注意する姿勢を示した。

 市場はこの程度のブレーキでは踏み込み不足と認識したようで、19日のダウ平均は351ドル安となった。いわゆるパウエルプットを市場は期待していたものとみられる。

 そもそも米利上げが米国株式市場の調整等の主因であったわけではない。米中間を巡る貿易戦争などが解決に向かわない限り、さらに世界的な景気減速観測が後退しない限り、市場の地合が大きくかわるとは思えない。金融政策だけが金融市場の決定要因ではない。しかし、市場が最終的に期待してしまうのは、中央銀行の金融政策となってしまっていることも確かである。

 19日の米10年債利回りは一時2.75%に低下した。株式市場の下落によるリスク回避の動きもあったかもしれないが、株式市場が踏み込み不足と認識したのであれば、米債は売られてもおかしくはない。それにもかかわらず2.75%という今回中長期的に適切とみる政策金利の水準まで低下したのは、FRBの利上げにブレーキが掛かるとの認識によるものではなかろうか。

 そもそも簡単に中長期的に適切とみる政策金利の水準を引き下げて良いものなのか。このあたり、厳密に数値を出すことができないものであり、これそのものがFRBの姿勢を示す数値ともいえるのではなかろうか。つまりこの引き下げにより、今後の利上げはかなり慎重に行うであろうことを示したともいえる。

 そうであれば来年の利上げについては、景気物価動向次第となるものの、今回でひとまず正常化に向けた利上げを停止する可能性もありうる。パウエル議長はこのあたり柔軟に対応してくる可能性があるのではなかろうか。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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