家計保有の投信の金額が30兆円以上も過大計上されていた

(ペイレスイメージズ/アフロ)

 日銀が四半期毎に発表している資金循環統計において、家計が保有する投資信託の金額が統計作成時の誤りで30兆円以上も過大計上されていた。

 これについては自分でも何故、すぐに大きな数字の変化に気がつかなかったのかと反省している。四半期毎の資金循環統計の発表があると毎回、その数字を基にして国債の投資家別の保有状況を算出している。これに関するコラムを書く際には、個人の金融資産についても毎回触れている。今年の3月と6月に私がコラムにアップしたものを比較してみたい。

 今年3月、「日銀は3月19日に資金循環統計(10~12月期速報値)を発表した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.5%増の約961兆円となった。株式等が同17.3%増の約211兆円、投資信託も13.1%増の約109兆円となっていた。」

 今年6月、「日銀は6月20日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.3%増の約961兆円となった。株式等が同11.7%増の約199兆円、投資信託も1.4%増の約73兆円となっていた。」

 明らかに投資信託の数字がおかしい。3月の数字から36兆円も減少していたのである。なぜ、これに気がつかなかったのかという反省はひとまず置いて、いったい何か起きていたのか。

 資金循環統計では年1回調査方法を見直す改定を行っており、今年6月下旬発表分の改定値を算出する際に過剰計上が見つかったとされる。この改定により、2017年12月末の家計の投信保有額が、改定前の109.1兆円から約33兆円少ない76.4兆円に修正されたのである。

 家計の保有額は投信の総額から、金融機関など他部門の保有額を差し引くことで算出しているそうで、日銀が改定作業を行う際、ゆうちょ銀行の保有分でこれまで「外国債券」としていた資産の一部が実は「投信」だったことが判明。改定後はその分だけ金融機関の投信保有額が膨らみ、逆に家計保有分は減額された(毎日新聞)。

 これにより、個人金融資産に占める投信の割合も修正され、2017年は4.1%となり、改定前の5.8%に比べ大きく低下した。家計保有の投信が数字上からは増加していたことで、「貯蓄から投資へ」が進行していたとの見方もあったが、現実にはそれほど進んではいなかった。

 それと注意すべきは、少なくとも30兆円以上の投資信託をゆうちょ銀行が保有しているという点にもある。ゆうちょ銀行が含まれる中小企業金融機関等の投信保有額は6月末で47兆円規模となっていた。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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