ビットコインは貨幣でもなく有価証券でもない、投機的な商品に過ぎない

(写真:アフロ)

 中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングの馬雲(ジャック・マー)会長は25日、ビットコインを巡る投機的な動きを批判し、仮想通貨への投資は避けると明言した。仮想通貨に関してはその技術が「金もうけのツールやコンセプト」に変わってしまったと指摘、「技術自体はバブルではないが、ビットコインはその可能性が高い」とした(WSJ)。

 麻生財務相は25日の参院予算委員会で、仮想通貨の取引で得た利益を現在の「雑所得」から「申告分離課税」に変更すべきとの指摘について、国民の理解を得られるか疑問だとし、慎重な見解を示した(ロイター)。

 ビットコインを代表とする仮想通貨と呼ばれるものは一時、数倍もの価格に跳ね上がり、その後大きく下落したことで、まさにチューリップバブルを連想させる動きとなっていた。

 IT技術がついに貨幣まで生み出したのかとの期待もあった仮想通貨であったが、この値動きそのものが貨幣として利用できないことを示した。仮想通貨は保有している、もしくは保有したい人達の期待で価格が形成され、価格の動きそのものによって人気化した。まさにオランダのチューリップバブルと同様のことが起きていたといえる。

 麻生財務相の答弁については、ビットコインなどの仮想通貨が取引所と呼ばれる専門業者を通じて売買されており、やはり価格が揺れ動く株式などと同様に有価証券として認めるべきものなのかに対する答えでもあろう。有価証券はその名の通り、株式が企業価値を示すように価値を有する証券(ペーパーレスではあるが)となる。しかし、ビットコインには裏付けとなる価値そのものが存在しない。貨幣価値については国、もしくは中央銀行がその価値を保証している。

 ジャック・マー会長や麻生財務省は、仮想通貨の基盤となるブロックチェーン技術については、育成の必要性を指摘している。ただし、それがどのようなかたちで応用されるのかもいまだ不透明ではある。

 いずれにしても仮想通貨はその価格の乱高下によって貨幣と称する意味合いはなくなってしまったといえる。また、裏付ける価値はないことで有価証券とも言いがたい。少なくともチューリップバブルを生んだチューリップは綺麗な花が存在していたのでまったくの無価値とは言えない。仮想通貨の裏付けの価値が見いだせず、あくまで人々の期待が取引を成立させており、いわば投機的なひとつの商品とみた方が良いと思われる。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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