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12月のコアCPIはプラス0.9%と足踏み状態

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 1月26日に発表された12月の全国消費者物価指数は総合が前年比プラス1.0%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合が前年比プラス0.9%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合が前年比プラス0.3%となった。

 消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、以下コア指数)は11月も前年比プラス0.9%となっており、とりあえず1.0%手前での足踏み状態。引き続きガソリンや灯油などエネルギー価格上昇の影響が押し上げ要因となっている。

 同時に発表された2017年の全国のコア指数は前年比0.5%上昇となり、2年ぶりにプラスとなった。総合も0.5%上昇となり、やはり2年ぶりのプラスとなった。

 原油価格はここにきても上昇基調となっており、WTI先物は一時66ドル台をつけ、2014年12月以来の高値となっている。このトレンドは当面維持されると見込まれる。

 石炭や原油、液化天然ガスの輸入価格が上昇した影響により、電力大手10社と都市ガス大手4社は3月に全社が値上げする。電力・ガス大手の全社が値上げするのは2017年6月以来9か月ぶりとなる。

 このように原油価格の上昇から今後もコアCPIに上昇圧力は加わりそうだが、外為市場ではここにきてやや円高基調となっており、こちらは物価には上昇抑制要因となる。この為替動向次第の面はあるものの、物価の上昇基調は継続するとみている。

 ただし、欧米の物価動向をみてみると、29日に発表されたFRBの物価目標ともいえる12月のPCEデフレーターが前年同月比で1.7%上昇と伸び率が縮小していた。また、30日に発表されたドイツの1月のCPI速報値が前年比1.4%増となり、予想に届かずとなるなど、なかなか物価が上昇しづらい状況にあることも確かのようである。

 さすがに日銀の物価目標水準に一時的にせよ到達するのは並大抵のことではない。景気の拡大が続き、原油価格が上昇してきても物価の上昇は鈍い状況が続いているが、これは日銀の緩和が足りないためではない。

 ちなみに全国消費者物価指数の結果の公表は2018年1月分から1週間早期化されるそうである。全国1月分公表日は2月23日(金曜日)となっている。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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