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米国債保有高、昨年11月も中国がトップ

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられ、これを受けて1月10日の米国の10年債利回りは一時2.6%近くまで上昇した。しかしその後、中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道について、誤った情報に基づいている可能性があるとの見解を示した。

 17日に米10年債利回りはあらためて2.59%まで上昇しており、中国の米国債への購入姿勢に関わらず、米10年債利回りは上昇地合となっていたといえる。それでも米国債の最大の保有国である中国の動向は気になるところではある。その動向を見る上でも、参考になるのが米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)である。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」

http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 17日に発表された最新版によると、11月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっていた。ただし、保有額そのものは減少していた、これは2位の日本も同様であった。

単位、10億ドル、()内は前月比増減

中国(China, Mainland)1176.6、-12.6

日本(Japan)1084.1、-9.9

アイルランド(Ireland)328.7、+16.3

ケイマン諸島(Cayman Islands )269.4、-0.5

ブラジル(Brazil)265.3、-4.7

スイス(Switzerland)250.9、-3.1

英国(United Kingdom)237.9、+12

ルクセンブルク(Luxembourg )218.3、+0.4

香港(Hong Kong)194.9、+2.6

台湾(Taiwan)179.9、-1.8

 これだけでは中国が政策的に米国債保有額を減少させているとは言えない。11月には人民元と円がともに対ドルで上昇していたことも要因として指摘されている。また、中国と日本の減少分を、アイルランドと英国がそれ以上の規模で前月増加させている点も興味深い。このため全体は11月が6343.1、10月が6349.5となっており、それほど大きな減少とはなっていなかった。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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