Yahoo!ニュース

中国による米国債への買い越し続く

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、8月の国別の米国債保有高のトップは中国が3か月連続のトップとなった。さらに中国の米国債の買い越しは7か月連続となった。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 8月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆2005億ドルとなった。2位は日本で1兆1017億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland) 1200.5

日本(Japan) 1101.7

アイルランド(Ireland) 307.2

ブラジル(Brazil) 273.6

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 260.0

スイス(Switzerland) 248.3

英国(United Kingdom) 225.4

ルクセンブルグ(Luxembourg ) 213.4

香港(Hong Kong) 197.3

台湾(Taiwan) 180.4

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、8月も2位のままとなった。中国は7月から345億ドル増加させたが、日本は114億ドル減少させていた。

 中国の外貨準備高は7か月連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、8月末の外貨準備高は3兆915億ドルとなっていた。7月から108億ドル増え、7か月連続で増加した。これも中国による米国債買入の原資のひとつとなっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 米10年債利回りの推移をみると8月は、ほぼ一貫して低下傾向となり(価格は上昇)、9月8日頃に2%近くまで低下していた。8月の利回り低下は中国による買いも影響していたとみられるが、日本は利回りが低下する過程で利益確定売りを入れていたようである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事