改善を示す日銀短観と株価の関係
日銀が14日発表した12月の短観では、ベンチマークとなっている大企業製造業DIはプラス10となった。前回調査のプラス6から4ポイントの改善となった。改善は6四半期ぶりとなる。
しかし、3か月先の業況判断DIは大企業製造業がプラス8と慎重な見方となった。事業計画の前提となる想定為替レートが大企業製造業で2016年度が104円90銭と前回の107円92銭よりも円高ドル安方向に修正されたことが影響した。
大企業製造業DIは日経平均のトレンド変化と歩調を合わせることが多い。今回の6四半期ぶりの改善は日経平均のトレンド変化を裏付けるものとなるのではないかと考えられる。
今回の短観の回答期間は11月14日~12月13日で、回答基準日は11月28日だった。つまり11月8日の米大統領選挙でのトランプ氏の勝利とその後のトランプ相場も確認したものではあった。しかし、為替についてはかなり慎重な見方をしている。すでに足元でドル円は117円台をつけるなどしており、3か月先については想定よりも改善してくる可能性がある。
業況判断DIについては大企業ばかりでなく、中堅、中小企業も改善を示しており、非製造業を含む全体でも2ポイントの改善となった。
ただし、2016年度の設備投資計画は大企業全産業(除くソフトウェア投資額)が前年度比5.5%増と9月調査の6.3%増から下方修正された。
このあたりはやや気掛かりながらも、今後は円安なども背景に今後は想定以上の改善が見込まれる可能性がある。業種別では自動車や電気機械などが改善し、これらは為替の影響を受けやすい。原油価格の底打ちもあり、石油・石炭製品や非鉄金属が大幅に改善している点も注意したい。
もちろんトランプ相場の継続性に疑問は残る面もあるが、企業のマインドも少なからず変化している兆しはある。今回の株高の背景は米国発のように見えるが、国内の実態経済も改善をみせており、それを背景にトランプ旋風によってさらに株価が押し上げられている、そのような解釈も可能なのではなかろうか。