米国債保有高は9月も中国がトップ
米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、9月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国(China、Mainland)であり、ここ1年あまりでは最も多かった8月の1兆2705億ドルほどではなかったが、1兆2580億ドルの保有高となった。二番目は引き続き日本で1兆1771億ドルとなっていた。
8月11日に中国人民銀行は人民元の引き下げを実施した。米財務省の為替問題議会報告によると、中国は7~9月の3か月間で2290億ドルの為替介入を実施したとされる。しかし、米国債国別保有残高の数字を見る限り、8月から9月にかけてそのための米国債の売却は行われていなかったように見える。
中国の9月の外貨準備は3兆5140億ドルで8月から430億ドル減少となっていた。7月から8月にかけては939億ドルと絶対額としては過去最大の減少を記録していた。しかし、米国債国別保有残高を見る限り、この影響は米国債保有高にはそれほど現れていない。
参考までに9月時点の日本の外貨準備高が1兆2489億ドルであり、このうち1兆1149億ドルが証券となっている。9月の日本の米国債保有高は1兆1771億ドルであり、ほぼ整合する。つまりこの外貨準備の大部分が米国債で保有されていることになる。
ところが中国に関しては外貨準備が日本の倍以上存在しているにも関わらず、中国の米国債の保有高は1兆2000億ドル近辺で日本とほぼ並んだ状況が続いていることで、残りの2兆ドルあまりはいったい何で運用されているのであろうか。
中国の外貨準備の運用先は非公開となっているようであり、2兆ドル以上もの資金の運用先はどこかにあるのかは明らかになっていない。世界有数の発行量を誇る日本国債を保有しており、その一部を売却した可能性はあるものの、9月の日本の公社債投資別売買高を確認しても、外国人は売るどころか大きく日本国債を買い越していた。
はたして中国の介入資金はどのように調達していたのか。そもそも外貨準備の相当分は何で運用しているのであろうか。ドルと円、ユーロ、英ポンドで構成されるIMFの特別引き出し権(SDR)に人民元が加わる可能性が高まってきた。11月30日のIMF理事会において最終承認されることはほぼ形式的なものとなっているようであるが、このあたり情報を公開させる必要はないのであろうか。