海外勢の日本国債の大幅買い越し続く

(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

日本証券業協会(JSDA)は11月20日に10月の公社債投資家別売買高を公表した。これは日本証券業協会の協会員、つまり証券会社から、当月中に取り扱った公社債の一般売買分(現先を除き、国債の発行日前取引を含む)の状況についての報告を基に集計したものである。発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっている。このため、短期債を除く債券のデータについては、全体から短期債を引いたものを使う。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

10月の公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスは買い越し、単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 17094(2635、11239、3605)

地方銀行-7791(-759、-4020、21)

信託銀行 3725(1916、344、2653)

農林系金融機関-1702(-994、122、-20)

第二地銀協加盟行-1035(-320、-61、310)

信用金庫-2285(-736、84、17)

その他金融機関-4251(-599、553、-3934)

生保・損保-2761(-2019、132、471)

投資信託-3146(-767、-520、-1384)

官公庁共済組合-226(16、-105、2)

事業法人-2211(171、-13、-1780)

その他法人-981(23、-24、-33)

外国人-30193(-2358、-2358、-24094)

個人 324(9、55、11)

その他 29851(10877、3619、20002)

債券ディーラー 88(128、-145、108)

9月に都銀は1兆1033億円の売り越しとなっていたが、都銀は10月も1兆7094億円の売り越しとなった。売り越しはそろそろ限界かとの声もあったが、2か月連続で再び売り越しとなった。同時に公表された国債投資家別売買高でみると、都銀は超長期債を2635億円売り越し、長期債を1兆1239億円売り越し、中期債を3605億円売り越しと、それぞれの年限で売り越しとなった。

そして、10月も「その他」が2兆9851億円もの売り越しとなっていた。9月は1兆7779億円の売り越し。10月は超長期債を1兆877億円、長期債を3619億円、中期債を2兆2億円と万遍なく売り越しとなっていた。引き続き、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の動きであろうか。さらに信託銀行も3725億円の売り越しとなった。これらは政府の意向を組んでの国債の投資比率の引き下げを行っているようにもみえる。

これらに対して外国人は、10月は3兆193億円もの買い越しとなった。9月は1兆7779億円、8月は2兆4121億円の買い越し。外国人は16か月連続の買い越しとなる。超長期債を2358億円、長期債を2358億円、中期債を2兆4094億円、それぞれ買い越していた。

地銀は7791億円買い越しと長期債主体の買い越し。生損保は2761億円買い越しとなり、超長期債主体の買い越しとなった。

10月の債券市場は、債券先物は148円台、10年債利回りは0.3%近辺での膠着相場が続いていた。需給面では都銀やゆうちょ、年金などの売りに対して、海外勢が中期債主体に買い越しとなった上で、日銀の買入があったため相場が高値圏で維持されていたようにみえる。債券先物などの動きをみると、閑散とした相場のようではあったが、現物債の売買高は7月あたりからやや減少傾向ではあるものの、それなりの規模は維持されていた。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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