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2月の投資家は全般に債券を買い越し

久保田博幸金融アナリスト

日本証券業協会は3月20日に2月の公社債投資家別売買高を公表した。これは日本証券業協会の協会員、つまり証券会社から、当月中に取り扱った公社債の一般売買分(現先(条件付売買)を除き、国債の発行日前取引を含む)の状況についての報告を基に集計したものである。発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっている。このため、短期債を除く債券のデータについては、全体から短期債を引いたものを使う。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

2月は大きく売り越した投資家はいなかった。1月に1兆3173億円の売り越しとなっていた都銀は669億円の売り越しに止まった。長期債を売った分、利回りがプラスに戻った中期債を購入していた。

1月20日に5年債カレントがマイナス利回りとなり、10年債利回りの0.195%と初めての0.2%割れが債券相場のピークとなり、その後債券相場は下落基調となった。2月も月初から債券相場は下落基調となっていたが、2月中旬あたりから買い戻され、月末は月初近くの水準にまで戻っていた。たとえば10年債利回りで、月初は0.3%近くにおり、2月半ばに0.4%台半ばまで利回りが上昇したが、2月末にかけて0.3%台前半となっていた。

あらためて1月の投資家動向を確認しておくと、売り越しは他に、その他金融機関の171億円、信託銀行の21億円程度。信託銀行は超長期債と長期債を売り越していたが、中期債を買い越してその分をカバーしていた。公的年金の国債売却はひとまず落ち着いたようである。

買い越しとしては外国人が1兆3589億円の買い越し。中期債主体に大幅買い越しとなっていた。利回りがプラスに転じたことで買いやすくなったものとみられる。農林系金融機関は8197億円の買い越し。超長期債主体の買い越しとなっていた。事業法人は4938億円の買い越し。こちらは中期債主体の買い越し。投資信託は4086億円の買い越し。こちらも中期債主体の買い越し。さすがにマイナス金利では購入できないことで、プラスに転じた中期債には押し目買いが入った格好となっていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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