FRBの正常化は早くて6月なのか

1月27日、28日のFOMCでは金融政策は現状維持となった。発表された声明文では、 正常化まで「can be patient」との表現が維持された。ただし前回のFOMC声明文で、このガイダンスはゼロ金利政策を「相当な期間(considerable time)維持することが適切になるだろうとした前回の声明と合致する」というかたちで残されていた「considerable time」の部分は削除された。

中央銀行のこのような声明文の表記の変更は今後の金融政策の先行き予想を示しているとみられており、特に「can be patient」や「considerable time」との表記がキーワードとなっている。これを削除するなどの変更があれば、それにより次回の金融政策の変更に向けて歩みを進めているのか、反対に後退しているのか、市場参加者は判断する。

今回、「considerable time」が削除されたことで連想されるのは、正常化(normalize)に向けて一歩前進しつつあることを示している。

市場では発表される個々の経済指標データなどから利上げが遠のいたとか近づいたとか判断することがあるが、現在のFRBが目指しているのは「利上げ」や「金融引き締め」というよりも、あくまで正常化であることを意識すべきである。経済実態が異常な状況でなくなれば正常化、つまりは非伝統的な金融手段から伝統的な政策に戻すことは当然のことである。もちろんそれは慎重に行う必要はあるが、ノーマルに戻したいとするのは中央銀行当事者にとっては当然のことかと思われる。

そして「can be patient」との表現が残されたことでの面白い解釈があった。前回のFOMC後の会見でイエレン議長は、我慢できるということは、FRBが今後2回の政策会合で利上げしない可能性が高いことを意味すると述べていた。今回1月のFOMCでは議長会見はなく、この解釈のままで良いのか確認はできないものの、もし今回も議長会見の解釈があてはまるのであれば、正常化、つまりゼロ金利解除は3月と4月の会合では見送り、6月以降ということになる。個人的には4月か6月かどちらかとみていたが、この解釈だと早くて6月ということになる。

4月には議長会見はなく3月、6月にはある。このあたり3月の議長会見でさらにはっきりすると思われる。そしてゼロ金利解除を決定する際も議長がその理由を自ら説明する必要があるとなれば、4月より議長会見のある6月のほうが適切なのかもしれない。

今回の声明文では、米景気は「堅調なペース」で拡大として緩やかなとの表現から置き換えられた。インフレ率は原油安などから「短期的にさらに下落しそうだ」との見通しを示したものの、今後の見通しについては「雇用回復や原油安の一時的要因などが消えるにつれて2%へ上昇していく」との見方を示した。このあたり日銀の説明に近いものがある。

今回の現状維持は全員一致となった。ちなみに年が変わったことで一部連銀総裁のメンバーが替わっている。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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