1月14日に来年度の政府予算案が閣議決定され、財務省は2015年度の国債発行計画を発表した。通常であれば年末に政府予算案が閣議決定されるが、12月に衆院選挙があった関係でこのタイミングとなった。

これによると新規国債(建設国債と赤字国債)が36兆8630億円(前年度当初予算41兆2500億円、補正後40兆4929億円)、借換債が116兆2986億円(前年度当初122兆1495億円、補正後120兆714億円)、財投債が14兆円(前年度当初・補正後16兆円)、そして復興債が2兆8625億円(前年度当初2兆1393億円、補正後1兆970億円)となった。

歳入において税収が消費税率8%引き上げ分を年度を通じて反映させることや、法人税収などで当初予算として7年ぶりの高い水準となり、新規国債発行額は当初予算として6年ぶりの30兆円台となった。

これにより2015年度の国債の発行総額は、170兆241億円(前年度当初181兆5388億円、補正後177兆6613億円)と、前年度の当初ベースからは11兆5147億円の減少となった。

国債の消化別発行額を見ると、カレンダーベースの市中消化額は、152兆6000億円(前年度当初155兆1000億円)と、2.5兆円減額となった。

カレンダーベースの市中消化額とは、4月から翌年3月にかけて入札により発行される国債の金額であり、年度の国債発行総額とは異なる。その理由は入札以外で発行される個人向けの国債や日銀乗換があるとともに、市中消化分には第2非競争入札による発行があり、さらに国債は前倒し発行と出納整理期間内発行が可能なため、年度間の調整分等が存在しているからである。ちなみに2016年度借換債の2015年度での前倒し発行は2.5兆円程度となる。

第2非競争入札による予定発行額は4兆3800億円(前年度当初4兆4700億円、補正後6兆8793億円)。 年度間調整分(前倒債の発行や出納整理期間発行を通じた前年度及び後年度との調整分)が3441億円(前年度当初8兆3688億円、補正後2兆5820億円)。日銀乗り換えが10兆4000億円(前年度当初・補正後11兆1000億円)、個人向け販売予定分が2.1兆円(前年度当初2.1兆円、補正後2.4兆円)。その他窓販分が2000億円となっている。

カレンダーベースの市中消化額は152.6兆円と今年度補正後の154.5兆円から減額される。カレンダーベースでの減額は2年連続となる。内訳は40年国債を0.4兆円、30年国債を1.6兆円、物価連動国債を0.4兆円(補正後0.2兆円)それぞれ増額する。そして5年債と2年債をそれぞれ2.4兆円減額、割引短期国債も1.3兆円(補正後0.5兆円)減額する。

40年債は4月、6月、8月、10月、2月の5回の発行予定で一回あたり0.4兆円と今年度から回数が1回増える。30年債は毎月8000億円となり、今年度から合計で1.6兆円上積みされる。20年債は1.2兆円、10年債は2.4兆円の毎月発行とこちらは現状維持。5年債と2年債は一回あたり2.7兆円から2.5兆円にそれぞれ減額される。1年割引短期国債は2.1兆円を2回、2.2兆円を10回となり合計で今年度から1.3兆円(補正後0.5兆円)減額される。10年物の物価連動国債は5000億円を4回となり、今年度から0.4兆円(補正後0.2兆円)増額される。流動性供給入は今年度の毎月0.7兆円から0.8兆円に増額される。

この結果、カレンダーベース市中発行額の平均償還年限は9年と今年度の8年5か月からさらに長期化される。

2015年度の公債依存度は2014年度の43.0%から38.3%に低下した。新規財源債の発行は抑制されたが、予算そのものの規模は96兆3420億円と過去最大規模となる。

債券市場での国債需給に影響するカレンダーベースの発行額については、事前に予想されていたように超長期債が2兆円程度増額され、中短期債主体に5兆円程度減額された。平均償還年限の長期化が図れたことで今後の利払い費用の抑制にも繋がるが、国債需給については日銀の国債買入の影響が大きく、この兼ね合いも考慮する必要がある。すでに5年債の利回りはゼロ%に低下している。現在の日銀の巨額の国債買入が継続するといずれ流動玉が枯渇してくる可能性もある。中期債の減額により、4月以降の需給に与える影響も考慮する必要があるかもしれない。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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