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牛さん熊さんが占う今年の金融市場

久保田博幸金融アナリスト

熊「いきなり難しいタイトルを任せられたぞ」

牛「まあ、占いとなれば当たるも八卦、当たらぬも八卦やろ」

熊「おいおい」

牛「それはさておき、今年の注目材料としてはやはり中央銀行の動向か」

熊「年初からECBのドラギ総裁は量的緩和をやる気満々の姿勢を見せていた」

牛「早ければ今月22日のECB理事会での量的緩和の可能性もないとは言えんけど」

熊「ドイツなどの反対を抑えて、どこまで踏み込むことができるのか」

牛「国債を買い入れるとして、どの国債をどの程度買い入れるのか」

熊「南欧の国債も買えるのか、を含めて課題もかなり多い気もするな」

牛「米国のFRBは4月以降、ゼロ金利解除というか利上げを決定するとみられ」

熊「経済データがよほど悪化したり、何かしらのアクシデントがなければ」

牛「4月か6月のFOMCでゼロ金利を解除し、正常化への大きなステップを踏むことに」

熊「利上げを控えている割には、米長期金利は低位安定している」

牛「これは欧州の長期金利の低下とともに、原油価格の下落もひとつの要因か」

熊「原油価格がどこまで下落するのかも、今年の注目材料となる」

牛「サウジアラビアなど産油国は米国主体のシェールガスを脅威ととらえ」

熊「シェールガスの採算が合わなくなる程度に原油価格を押さえ込もうとしている」

牛「この原油価格の下落は産油国には打撃やが、世界経済にはプラスの面も」

熊「物価の上昇も抑え、それで米長期金利は低位安定、欧州の金利低下の要因にも」

牛「しかし、これで予定が狂ってしまったように見えるのが日本の中央銀行やな」

熊「ある意味、今年最大の注目材料は、日銀の動きとなるかもしれない」

牛「原油価格の下落は、日本の消費者物価の抑制要因ともなり」

熊「2%の物価目標達成はさらに困難になりつつある」

牛「それで昨年10月に異次元緩和パート2を打ち出したが」

熊「そもそも異次元緩和で期待が出て物価が上がるという理屈がよくわからない」

牛「頼みの綱は円安やが、それだけでは原油安には対抗できない状況に」

熊「株がしっかりしているうちは、さらなる緩和圧力は強まらないかもしれないが」

牛「今度緩和するには理由付けも難しいし、これ以上の国債買入もかなり危ない橋に」

熊「この日銀の動向次第では、日本の債券相場はかなり波乱含みの展開もありうるか」

牛「いまのところ、FRBの利上げ観測で米長期金利が急騰するようなこともなく」

熊「ECBの量的関与観測などで、ドイツなど欧州の国債利回りが軒並み低下し」

牛「日銀の国債買入も手伝って日本の長期金利も過去最低を更新しつつあるものの」 熊「債券市場そのものは日銀の関与が大きすぎて機能不全の状態となりつつある」

牛「日銀については、異次元緩和の意味が問われる年になることも予想され」

熊「物価目標達成が困難となれば、ある意味、責任問題が生じることも」

牛「巨額の国債買入の意味も問われ、その後始末についても大きな問題に」

牛「ただし、消費増税は延期されたが、国債への市場参加者の信認はまだまだ厚く」

熊「そこに何かしらの変化が生じるとすれば外部要因による可能性も高い」

熊「ドイツなどの欧州の国債がかなり買い進まれており」

牛「こちらが何かしらのきっかけで大きく反転する可能性もありうるか」

熊「ドラギ総裁が意地を通せるのか、はたまたギリシャの政局不安などもある」

牛「原油価格もどこまで下げるのか見通しもしづらい状況下」

熊「日銀の金融政策だけでなく、新興国などへの影響も考慮する必要も」

熊「ということで、今年は日米欧の金融政策の行方とともに」

牛「それに影響を与える原油価格の動向に注目か」

熊「年初は日欧米の長期金利はどこまで下がるかに挑戦しそうだが」

牛「年央の米国の利上げあたりから、相場付きが変化してくることも予想される」

熊「上がり続けている株価の動向も気になるところか」

牛「いずれにしても、債券を含めて相場が大きく動く可能性はありそうやな」

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

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「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

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