10月半ばからの日米欧の株高等の理由
9月19日あたりを起点とした日米欧の金融市場でのリスクオフのような動きは、10月15日あたりをボトムとして再び回復基調となってきた。9月19日以降の日米欧の株式市場の下落、米国やドイツの長期金利の低下、外為市場での円売りの動きは、10月15日あたりから揃ってトレンドが変化していた。
今回のこの動きの背景に何があったのか。取りたてて大きな材料が出ていたわけではない。たしかにエボラ出血熱の問題やイスラム国の問題等、懸念すべき材料はあった。また、欧州経済の悪化なども危惧されており、それが9月19日以降のリスクオフの動きの要因のひとつにはなっていたと思われる。しかし、これらの状況が改善されたわけではないにも関わらず、各市場が揃ってトレンドが変化したこと自体、背景には何かしらの材料があったというよりも、ポジション調整的な動きがあったと見た方が良さそうである。
9月19日にかけてダウ平均などは過去最高値を更新するなど、米景気の好調さを背景に株は上昇し、米長期金利も上昇した。同様にドイツの兆金利も上昇基調となっていた。ただし、ドル円についてはもう少し長く続き、10月始めにかけて110円台に上昇しており、その影響もあり、東京株式市場は9月末にかけ上昇トレンドは継続していた。
9月19日以降の欧米市場では、何らかのポジション調整の動きをきっかけに米国株式市場を中心に調整局面となった。10月半ばにかけて米株は大きく下落し、米国やドイツの国債は買われ、さらには英国債も同じタイミングで買われていた。イングランド銀行の利上げ観測が後退して英国債が買われたとの指摘もあったが、むしろ英国債は米国やドイツの国債の動きに連動していた側面が大きいと思われる。
東京株式市場もやや遅れてこの流れに巻き込まれ、日経平均は9月末あたりから10月17日あたりまで下落基調となる。日本国債先物は10月15日のイブニングセッションで146円60銭まで買われ、過去最高値を更新した。
そして、今度は10月15日あたりから日米欧の株式市場はV字回復となり、外為市場では再び円が下落し、米国、ドイツ、英国の長期金利は上昇してきた。日本国債も高値圏に止まるが、10月15日のイブニングの過去最高値はいまのところ更新していない。
この欧米の株式市場や債券市場の動きからみると10月15日あたりで、株式市場での調整売りの動きはいったん終息したものとみられる。
9月19日以降の大きな調整で、FRBのテーパリング終了は延期かとの観測も一時出ていた。しかし相場の回復もあり、予定通りに10月28日、29日のFOMCでテーパリングは終了すると思われる。
欧州の景気動向なども懸念材料ではあるが、米国企業の決算もそれほど悪くはない。米景気の回復度合いがあらためて意識されると、再びリスクオンのような動きを強めてくることも予想される。ただし、ニューヨークの医師がエボラ熱検査で陽性反応といった気になる記事も出ているが、感染の広がり等がない限りこれで基調が変わることも考えづらい。
ここにきて日本の債券先物は小さな三角持合いを形成している。三角持合いから大きく離れる前にはダマシも入ることが多い。このためいったん上に抜けたあとに、あらためて戻り売りに押されるような展開もありうるか。
来週はFOMCだけでなく、31日には日銀の金融政策決定会合も開催される。日本のCPIや鉱工業の発表もあるが、欧米でも米GDP含めて注目の経済指標の発表もある。これらを確認しつつ、欧米の株式市場は戻りを試し、米独英の長期金利は上昇基調になるのではないかと予想される。