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2013年2月の米国債の国別保有残高

久保田博幸金融アナリスト

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)によると、2013年2月の日本の米国債(短期債含む)保有残高は1兆971億ドルとなり、1月の1兆1039億ドルからさらに減少した。日本の米国債保有額は2012年10月まで増加し、1兆1319億ドルまで増加していたが、11月以降は減少傾向にある。

これに対してトップの中国は1兆2229億ドルと、1月の1兆2142億円からさらに増加させている。これは1年以上ぶりの高水準となるようである。中国による米国債保有額は昨年頭打ちとなっていたが、昨年10月あたりから再び増加傾向となり、昨年12月以降は1兆2000億ドル台で推移している。この結果、保有額ではトップの中国と2位の日本の差が拡大している。

上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)。中国(China, Mainland)1222.9 、日本(Japan)1097.1、カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs)286.7、ブラジル(Brazil)260.0、石油輸出国(Oil Exporters)257.2、台湾(Taiwan)188.2、スイス(Switzerland)185.8、ベルギー(Belgium )184.9、ロシア(Russia)162.1、香港(Hong Kong)143.2。

米国債は米景気の改善も意識され、昨年12月上旬あたりから2月上旬まで下落基調となっていたが、2月は底堅い動きとなり、後半にかけては切り返してきている。米10年債利回りは2月に入り一時2%台に上昇する場面もあったが、その後1.9%割れとなった。

米債3月にかけて再び下落し、10年債利回りは再び2%台をつけた。しかし、キプロスへの懸念の強まりなどを背景に、その後切り返してきた。4月に入ると日銀は大胆な金融緩和策を決定し、日銀は大量の自国の国債を買い入れる。この決定後の日本の債券市場は不安定な動きを見せてきている。またFRBは出口を探る動きを見せ始めてきており、このあたりの動向も米国債投資に多少なり影響を与えてくる可能性はある。

今後の国債の動きには債券市場関係者ぱかりでなく、幅広く関心が高まる可能性がある。日銀の異次元緩和による国債市場の混乱を理解するには、国債そのものの理解も必要になる。そのためにはぜひ、本日出版された拙著「アベクロ政策と国債問題[Kindle版]」をぜひダウンロードしていただけるうれしい。前作「アベノミクスを理解するための日銀入門[Kindle版]」と同様に牛さん熊さんの会話形式で読みやすくなっている。ぜひご一読を。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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