1月の債券市場における投資家の動き
2月20日に日本証券業協会は1月の公社債投資家別売買高を発表した。短期国債を除くベースで、都銀は9746億円の買い越しとなり4か月ぶりの買い越しとなった。地銀も1971億円の買い越し、信託銀行が2兆4392億円、農林系金融機関も5686億円、信用金庫は4691億円のそれぞれ買い越しとなった。
生損保も5059億円の買い越し、投資信託も3289億円の買い越し、海外投資家も3440億円の買い越しとなっていた。
投資家は差し引きでは買い越しとなっていたが、年限別の売買にはそれぞれ偏りも見えていた。それを国債の投資家別売買高でみてみると、都銀は超長期債を3145億円、長期債を2632億円売り越していた半面、中期債を1兆4074億円買い越していた。1月31日の2年債入札でも大量に落札したのは大手銀行ではないかと観測されていた。
信託銀行は超長期債を5983億円、長期債を1兆434億円、中期債を5930億円それぞれ買い越した。円安株高の進行もあり、パッシブ系の年金運用者などからのリバランスに伴う円債買いが入ったものと思われる。
農林系金融機関は超長期を2053億円、長期債を2728億円それぞれ買い越していた。信用金庫は長期債を2052億円買い越していた。
生保は超長期債を5914億円の買い越し。そして外国人は超長期債を1431億円、中期債を1876億円買い越していた。
1月の債券相場は米国での財政の崖問題が回避されたことや円安による株高もあり、売りが先行した。その後は、日銀による積極的な緩和策なども意識されて中期債主体に買いが入った。22日の金融政策決定会合で日銀は2%の物価安定の目標とともに、期限を定めない資産買入方式を導入した。超長期債は増発懸念などで上値が重くなったが、29日の夕方に発表された2013年度の国債発行計画で増発はほぼ予想の範囲内に収まった。31日に債券相場は中期債主体に上昇し、債券先物も144円40銭をつけた。
短期債の売買高をみると、外国人がこの月も15兆4445億円の買い越しとなっていた。昨年12月は外国人の買い越しが10兆円を割むが、再び10兆円以上に回復した。1月に入ってからも円安の動きは継続し、ドル円は90円台を回復するなどしていたが、海外投資家による短期債の買い越しは継続していた。