日銀総裁にふさわしい人物

日本のコンクラーベともなる日銀総裁人事の行方については、参院での同意を考えれば、民主党の動向が鍵となると見ていたが、どうやら情勢がまた少し変化してきた。

公正取引委員会の委員長人事について、民主党は、事前の報道を理由に国会への提示をいったんは拒否したものの、元財務事務次官の杉本和行氏を起用する案に、賛成する方向で調整を進めていて、杉本氏が衆参両院の同意を得て、新しい委員長に就任する見通しとなったそうである(NHK)。

政治の世界でのやり取りがどのようになっているのかはよく分からず、外部からは見えないが、とにかくこれにより日銀総裁人事についても民主党の同意を得られる可能性が出てきた。少なくとも、みんなの党の日銀総裁候補リストを見ても現実的ではなく、維新の会についても同意を得られるのかは不透明であり、財務省出身者を含めて拒否反応の少ないとみられる民主党の方が、同意を得やすいのではないかと見ていた。

民主党の同意が得られるとなれば、日銀の総裁・副総裁人事はバランスの取れたものになることが予想される。少なくとも、突拍子もない人事案が出されるようなことは考えづらいのではなかろうか。

日銀の白川総裁は14日に、日銀総裁に望ましい人物として、金融政策以外の決済システムの運行など日銀の幅広い仕事について十分な理解と知識があること、意見や立場が異なる人にも耳を傾ける謙虚さがあること、常にグローバルな視点を意識して判断、行動するという3つの条件をあげたそうである(日経新聞)。

安倍首相としては自らの考え方に近い人物をピックアップしているとみられるが、日本の金融経済に大きな影響を与えうる人物の選考だけに、このような日銀側の意見も無視することはできないと思われる。

白川総裁が真っ先に上げた条件は特に注意すべきで、日銀の中での金融政策に関わる仕事は全体から見ればほんのわずかである。もちろんその影響力は無視できないが、日本の金融のインフラを支えているのが日銀である以上、その仕事の重要性を意識する必要がある。ここにとんでもない素人を持ってこられるのは問題であろう。

日銀の仕事に理解というより知識、出来れば「経験」もあり、大きな組織のトップとしてふさわしい人物となれば、かなり限られてくる。もちろんその補佐役として日銀プロパーの副総裁も必要ではなかろうか。総裁はかなり多忙であり、国際会議等での海外出張も多い。日銀の業務そのものをチェックしうる人物の補佐も必要となろう。さらにもう一人の副総裁は、いわゆるアベノミクスにより理解のある人物が選ばれることも予想される。こちらは学者出身となる可能性もあるが、このあたりが現状考え得るバランスの取れた人選となるのではなかろうか。そうなれば候補者は自ずと限られてくるのではなかろうか。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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