12月の海外からの日本の債券への投資状況

財務省は2月8日に12月の国際収支(速報)を発表した。これによると、経常収支は2641億円の赤字となり、11月の2224億円の赤字に続き、2か月連続での赤字となった。2か月連続の赤字は統計上、比較可能な1985年1月以降で初めてとなる。ただし、季節調整済みでは981億円の黒字。同時に発表された2012年の経常収支は4兆7036億円の黒字となり、こちらは比較可能な1985年1月以降で過去最低を更新した。

国際収支の発表には、付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている(財務省トップページ > 国際政策 > 関連資料・データ > 国際収支状況 > 報道発表資料(発表日別)。このうち12月の対外・対内証券投資から債券の部分について確認してみたい。

国内から海外の国債等への投資は、「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認できる。米国債への国内からの投資は、ネットで12月は4174億円の増加となり、11月の3045億円の減少から増加に転じた。ユーロ圏への国債投資では、フランスのソブリン債への投資が12月は1523億円増と11月の4884億円に続いて増加した。12月のドイツのソブリン債への投資は347億円の減少と11月の1496億円増加からやや減少に転じた。

「本邦債券に対する対内証券投資」から、日本の債券(主に国債)に対する海外からの投資を見てみると、12月はネットで2兆7357億円の減少となり、11月の3兆8904億円の増加から減少に転じた。内訳としては中長期債が1兆1183億円の減少、短期債が1兆6174億円の減少となっていた。ちなみに11月は中長期債が4173億円増、短期債が3兆4731億円増となっていた。

12月の「対内証券投資の地域別内訳」をみると、日本の中長期債での購入額で目立ったのは、中国の2457億円程度。反対に中長期債での流出で多かったのは、英国の7610億円、フランスの1885億円、米国の1038億円、サウジアラビアの1050億円、イランの1020億円など。

日本の短期債で購入額が多かったのは、英国の4兆6344億円増(11月は8兆3697億円増)が引き続き突出しているもののネット購入額は前月からは大きく減少した。これに対して流出が大きいのは、ルクセンブルグの2兆930億円減(11月は1兆6029億円減)、フランス8703億円、国際機関8099億円、UAEが5443億円、シンガポール5246億円、香港2460億円、米国2168億円、ケイマン諸島1734億円など。

12月の海外から日本の国債を主体とする債券への投資額は、特に短期債は英国経由のものがあらためて減少した。中長期債ではその英国が大きく売り越し、短期債でも売却があちらこちらから出ていた。12月中は円安基調が強まっていただけに、これが意識されての動きであったように思われる。

ちなみに2月8日に発表された1月の対外及び対内証券売買契約等の状況(月次・指定報告機関ベース)によると、対内証券投資については中長期債が2179億円増(12月は1兆1423億円減)、短期債が2兆2361億円減となっていた(12月は1兆6235億円減)。1月に入っても円安の動きが継続していたが、海外投資家は1月上旬に再び短期債をネットで2兆円を超す買い越しとなっていた。月次データ(対外及び対内証券売買契約等の状況 > 統計表一覧)で見ると短期債は10月が3兆5745億円の売り越し、11月が3兆4686億円の買い越し、12月が1兆6235億円の売り越し、1月が2兆2361億円の買い越しとなっていた。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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