11月の海外からの日本の債券への投資状況
財務省は1月11日に11月の国際収支(速報)を発表した。これによると、経常収支は2224億円の赤字と10か月ぶりの赤字となった。1月以外では1985年以降初の赤字となる。ただし、季節調整済みでは2259億円の黒字に。
国際収支の発表には、付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている(財務省トップページ > 国際政策 > 関連資料・データ > 国際収支状況 > 報道発表資料(発表日別)。このうち11月の対外・対内証券投資から債券の部分について確認してみたい。
国内から海外の国債等への投資は、「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認できる。米国債への国内からの投資は、ネットで11月は3045億円の減少となり、10月の4565億円の減少に続いての減少に。ユーロ圏への国債投資では、フランスのソブリン債への投資が11月は4884億円増と10月の5635億円に続いて増加した。11月のドイツのソブリン債への投資が1496億円の増加と10月の706億円減少から増加に転じた。
「本邦債券に対する対内証券投資」から、日本の債券(主に国債)に対する海外からの投資を見てみると、11月はネットで3兆8904億円の増加となり、10月の2兆8357億円減少から増加に転じた。内訳としては中長期債が4173億円の増加、短期債が3兆4731億円の増加となっていた。ちなみに10月は中長期債が6989億円増、短期債が3兆5346億円減となっていた。
11月の「対内証券投資の地域別内訳」をみると、日本の中長期債での購入額が大きいのが、英国の4851億円、フランスの995億円、中国の958億円など。反対に中長期債での流出で多かったのは、オーストラリアの3748億円、ルクセンブルクの2381億円など。
日本の短期債で購入額が多かったのは、英国の8兆3697億円増(10月は5兆4255億円増)が引き続き突出している。これに対して流出が大きいのは、ルクセンブルグの1兆6029億円減(10月は1兆5168億円減)、フランス5329億円、国際機関5113億円減、米国5084億円、シンガポール4446億円、UAE44076億円、香港2309億円、タイ1941億円、ニュージーランド1020億円、ドイツ1004億円など。
11月の海外から日本の国債を主体とする債券への投資額は、特に短期債は英国経由のものが再び大きく増えていた。反対に短期債の売却はあちらこちらからそこそこ出ていた。11月の中旬あたりから、円安基調が強まってきたが、これを見る限りこの円安による影響は限られていたように思われる。
ちなみに1月11日に発表された12月の対外及び対内証券売買契約等の状況(月次・指定報告機関ベース)によると、対内証券投資については中長期債が1兆1423億円減(11月は3706億円増)、短期債が1兆6235億円減となっていた(11月は3兆4686億円増)。12月に入り円安の動きがさらに加速したこともあり、中長期、短期債ともさすがに売却が増加したものとみられる。ちなみに中長期債のネットの売り越しが1兆円を超えたのは、2012年3月の1兆8169億円の売り越し以来となる。