原油価格の上昇ペースが加速している。国際指標となるNY原油先物相場は、3月4日終値の1バレル=115.68ドルに対して、週明け7日のアジア時間には一時130.50ドルまで、一気に14.82ドル(12.8%)も値上がりしている。過去最高値147.27ドルを記録した2008年7月以来の高値である。東京商品取引所(TOCOM)のドバイ原油先物相場も、1キロリットル=7万5,000円台に達し、08年9月以来の高値を更新している。年初からは1リットル当たりで20円を超える値上がりになっており、こうした原油調達コストの上昇は、ガソリンや灯油小売価格などにも反映されることになる。

週末を挟んで原油高が加速した直接的な背景としては、ロシア産原油に対する制裁強化の議論が活発化している影響が大きい。既に欧米などを中心にロシア大手銀行を国際決済ネットワークSWIFTから排除する制裁が行われており、各国はロシア産原油取引を手控える傾向を強めている。実際に、ロシアの指標油種であるウラルブレント原油は、国際価格に対して28ドル以上もディスカウントされた状態にあり、買い手不在の中で安値での売却を迫られていることが窺える。

現状ではロシア産原油取引そのものが制限されている訳ではなく、カナダがいち早く禁輸措置に踏み切ったものの、欧米や日本などがロシア産原油を取引することは、他の制裁措置に該当しないのであれば可能な状態にある。しかし、ウクライナの激しい戦闘で多くの死者、負傷者が発生していることが報じられる中、各国でロシア産原油取引を制限して、ロシアの戦費を断つ必要性を訴える世論が高まっている。

そのようなことを行えば、もちろんガソリン価格の高騰などを通じて家計に留まらず経済全体に大きなダメージが生じる可能性が高い。実際に、各国株価は原油高と歩調を合わせるように急落しており、日経平均株価も今年の最安値を更新している。しかし、それ以上に人道的な視点からウクライナ支援の声が強くなっており、米国ではブリンケン国務長官が欧州や日本とロシア産原油規制を協議していることを明らかにし、ホワイトハウスと議会との間でも調整が行われている。

岸田首相は7日の参院予算委員会において、ロシア産原油の禁輸措置について「エネルギーの安定供給は最大限守るべき国益との考えに基づき、国際社会と連携しながらも適切に対応していく」と述べるに留めているが、日本においてもウクライナ支援や国際秩序を維持するために、国民がガソリン価格高騰を受け入れてでもロシア産原油の禁輸措置に踏み切るのか、難しい対応を迫られることになる。

日本の場合だと、ロシア産原油の輸入依存度は昨年実績で約3.6%となっているが、欧州だと30%前後に達している。米英が先行した段階的な禁輸措置、全面禁輸ではなく数量規制などの案も浮上している模様だが、ロシア産原油を国際市場から排除するより強力な施策が導入されると、原油相場は過去最高値を更新する可能性も十分にある。その際のガソリン価格は、現在の1リットル=170円台前半から一気に200円の節目に迫るような可能性も想定しておく必要がありそうだ。