石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどで構成される「OPECプラス」の協議が7月5日に行われたが、合意に達することができずに決裂した。これを受けて国際原油価格が急伸している。NYMEX原油先物相場は、2日終値が1バレル=75.16ドルだったのに対して、協議決裂の報を受けて一時76.39ドルまで急伸し、2018年10月以来の高値を更新している。8月以降の需要拡大に対してOPECプラスが対応できるのか不透明感が強くなっている結果である。

OPECプラスは2日の協議において、8~12月に合計で日量200万バレルの減産規模縮小(=増産)を行うことで合意する一方、協調減産の期限を来年4月から同12月まで延長する案については合意に達することができなかった(参考:OPECプラスの協議が難航中、UAEの不満は何か?)。OPEC加盟国でもあるUAEが、減産量の算定基準となる自国の「基準産油量」が低過ぎると引き上げを要請し、それがなければ減産期間延長には合意できないとしたためだ。

この問題を解決するために5日も再協議が行われたが、結果的にはUAEの説得に成功できず、OPECプラスも「第18回OPEC+非OPEC閣僚級会合は中止(18th OPEC, non-OPEC Ministerial Meeting called off)」との短いプレスリリースを発表したのみである。

協議の決裂を受けて、2日に合意されていた8~12月期の減産規模縮小の合意も白紙に戻ったとの報告があり、世界経済の回復やパンデミック収束による需要拡大に対して、OPECプラスが十分な供給を行えないリスクが警戒されている。

イラク石油相は、10日前後で次の協議の日程が設定でき、近く合意に達するだろうと楽観的な発言を行っている。また、バイデン米政権もこの問題の解決のために仲介を行うことに意欲を示している。このため、一時的な混乱状況に過ぎないのかもしれないが、UAEの政治的、経済的な立ち位置がここ数年で大きく変わる中、中東の盟主サウジアラビアとの産油政策を巡る足並みの乱れが目立つ状況になっている。

このまま年後半に必要とされる増産対応をできなければ原油相場は急伸する一方、仮に今回の協議決裂をきっかけにOPECプラスの需給管理体制が破綻する事態になると原油相場は急落するリスクも抱えている。

当面はドライバーにとって厳しいガソリン価格環境が続きそうな情勢だが、OPECプラスが結束を維持できるのか否かによって、年後半のガソリン価格環境は激変するリスクがある。これまでOPECプラスは協調減産体制による原油価格押し上げに成功してきたが、大きな不確実性が浮上している。