OPECプラスは段階的な減産縮小を合意、過剰な原油高がもたらした混乱

(提供:INGRAM PUBLISHING/アフロイメージマート)

石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国で構成する「OPECプラス」は、12月3日に開催した閣僚級会合において、来年1月から段階的に減産規模を縮小することで合意した。現在は日量770万バレルの協調減産を実施し、コロナ禍による需要低迷に対応しているが、1月に減産規模を50万バレル引き下げて720万バレルに修正することになる。

従来の計画では、協調減産の規模を来年1月から日量580万バレルまで190万バレル引き下げる方針になっていた。しかし、足元でコロナ禍が再び深刻化し、需要環境・見通しが大幅に悪化する中、計画を見直した格好になる。

11月30日に開催されたOPEC総会では、減産縮小を3カ月先送りする案が協議されたものの、合意には至らなかった。多くの加盟国が同案を支持したが、UAEなどが全ての国の減産合意順守を条件にするなど、現在の減産規模を来年に向けて維持することに難色を示した結果である。また、ロシアも来年1月からの段階的な増産を主張し、今回の「OPECプラス」会合の事前調整は難航していた。

実際に、OPECで主導的役割を担うサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は、合同閣僚監視委員会(JMMC)の共同議長国を降りると発表するなど、産油国間の対立が激化していた。「OPECプラス」会合も、当初は12月1日開催予定だったが、調整が必要として3日開催に延期されていた。

11月の段階では、今回の「OPECプラス」会合は、無難に減産縮小の先送りが合意されるとの見方が支配的だった。実際にロシアも減産着手の先送りに理解を示していた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、OPECは11月月報で世界石油需要見通しの大幅な下方修正に踏み切っており、予定されていた需要回復軌道に乗っていないとの警戒感が強くなっていた。国際エネルギー機関(IEA)も、予定通りに減産規模の縮小に踏み切れば、来年1~3月期には再び在庫積み増しが行われるとの強い警戒感を示していた。

それにもかかわらず「OPECプラス」が減産規模の縮小を決定したのは、最近の原油価格高騰の影響が大きいとみられる。新型コロナウイルスのワクチン開発が順調に新著する中、NY原油先物相場は11月上旬の1バレル=30ドル台後半に対して、足元では45ドル水準まで上昇している。ワクチンによって日常生活が取り戻され、原油需要環境が正常化するとの見方が先取りされている。

このため、足元の原油需要環境・見通しの急激な悪化という危機感を全ての産油国が共有できなくなっており、妥協の産物として減産規模の縮小に着手するものの、そのペースを当初予定より鈍化させる案が採用されている。「OPECプラス」は来年2月以降も、毎月需給環境をチェックして、段階的な減産規模縮小が妥当かを検証する方針を示している。

マーケットでは、この政策で需給環境の安定化を確保できるのか評価が割れており、同日の原油相場は売買が交錯する不安定な値動きになった。最終的には前日比0.36ドル高の45.64ドルと買い圧力が優勢だったが、原油需給環境は大きな不確実性を抱えた状態になっている。ワクチン開発の動きによって、現実の需給とかい離した原油価格が形成されていることが、本来必要とされる政策調整が実現しなかったのではないかとの警戒感が残されることになる。