シェールオイル企業の破たん始まる、トランプ大統領は原油安是正のディールに自信

(写真:ロイター/アフロ)

米シェールオイル生産のホワイティング・ペトロリアム(Whiting Petroleum Corp)は4月1日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条の適用を申請したと発表した。サウジアラビアとロシアの対立、そして新型コロナウイルスの影響で原油・天然ガス価格が急落する中、負債の削減などキャッシュフローの改善による経営再建を目指すことになる。同社は上場企業であるが、今回の原油相場急落における初の破たん事例になる。

シェールオイル企業の破たんが現実化したことで、今後はエネルギー企業の資金調達は一段と困難になり、経営破たんやデフォルト(債務不履行)が連鎖的に発生する可能性も高まっている。シェールオイル産業の崩壊がいよいよ目に見える形で確認できる状況になっている。

こうした中、トランプ米大統領は原油安問題に本格的に取り組む方針を固めた。4月3~5日にはホワイトハウスに石油企業幹部を集め、エネルギー産業の支援策について協議を行う方針を示している。

また、現状はサウジアラビアにとってもロシアにとっても非常に悪い状態だとして、「両国はディール(取引)できるだろう」として、「価格戦争(price war)」の終結にも自信を示している。既にサウジアラビアのムハンマド皇太子、ロシアのプーチン大統領と個別に電話会談を実施しているが、4月1日には今後「数日」以内に「価格戦争」を終わらせることが可能だろうとの極めて楽観的な見方を示している。

国際原油市場は、新型コロナウイルスによる需要減退という問題の一方、サウジアラビアとロシアの対立で主要産油国が増産に踏み切るという最悪の状況に直面している。3月6日の石油輸出国機構(OPEC)総会でサウジアラビアが強く要請していた追加減産案がロシアの反対によって否決されたことで両国の関係が悪化しているが、サウジアラビアはロシアとの協調減産で需給管理を行うことを放棄し、積極的な増産対応で自国の市場シェアを最大化する方針に切り替えている。

トランプ大統領も、当初はガソリン価格の値下がりは消費者にとって好ましい面もあるとして静観の構えを見せていたが、自国の石油産業、更には金融市場にとっても原油価格の急落が大きなリスク要因になる中、4月入りと前後して原油安の解消に向けて動き始めている。

当初は、米国の介入に反対の姿勢を示していたロシアも、サウジアラビアとの協議を断念し、トランプ大統領の仲介に期待を寄せる姿勢を示している。サウジアラビアは協調減産体制の期限が切れた4月1日に過去最高の原油供給を行った模様だが、トランプ大統領の仲介によって主要産油国が協調減産体制に回帰できるのかが注目される局面になる。

一部産油国からは、米国に対してもOPECプラスの協調体制への参加ないしは協力を求める声も浮上しており、米国、サウジアラビア、ロシアの世界三大産油国が新たな国際協調の枠組みを模索し始めている。

世界的に外出を制限するロックダウンが展開されている結果、国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は3月26日の段階で、世界で約30億人がロックダウンの影響を受け、石油需要は昨年実績の20%に相当する日量2,000万バレル減少する可能性を報告している。こうした中、仮にサウジアラビアやロシアを軸とした協調減産体制が再開されても、原油需給・価格環境が直ちに安定化する訳ではない。

ただ、協調減産が再開されれば、シェールオイル産業に対するストレスは緩和され、シェール産業の崩壊を引き起こす必要性は薄れることになる。「政策」と「価格」によって需要と供給とのバランスが均衡のとれた状態にすることが求められている。仮に「政策」による生産調整が実現すれば、その分だけ「価格」による生産調整の必要性は薄れ、原油価格の急落傾向対してはブレーキが掛かり始める可能性がある。トランプ大統領が得意とする「ディール」の成否に注目したい。