米石油業界が年末に想定している原油価格は?

(写真:アフロ)

米国のダラス地区連銀がエネルギー業界幹部を対象に行った四半期調査「エネルギー・サーベイ」によると、7~9月期の「エネルギービジネス指数」はマイナス7.4となり、4~6月期のマイナス0.6から更に落ち込んだ。2四半期連続のマイナスであり、2016年1~3月期以来で最低になっている。米国のシェールオイルは大規模な増産体制を維持しているが、その一方で石油リグ稼働数は急激な落ち込みが続いており、エネルギー業界は現在のビジネス環境を極めて厳しいと捉えていることが確認できる。

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(エネルギービジネス指数)

短期的な成長阻害の最大要因としては、「価格が低過ぎる」との回答が42人と最多になっており、次いで「資本アクセスの制限」が20人、「投資家のフリーキャッシュフロー創出圧力」が13人などとなっており、価格の問題がエネルギービジネスのボトルネック化していることが確認できる。また、投資家がエネルギー業界への投資に慎重になっており、投資よりも現金確保を優先するように圧力が掛かっていることも確認できる。

成長阻害の2番目の要因としては、「価格が低過ぎる」の27人が最多だが、「労働力不足」が13人、「資本アクセスの制限」が12人、「投資家のフリーキャッシュフロー創出圧力」が11人となっており、良好な雇用環境の中でエネルギー業界の人手不足が成長にも影響を与えていることが確認できる。

また興味深いのは、米エネルギー情報局(EIA)が掘削未仕上げ井(DUC)を約4,000と推計していることに対して、適切が37人、多いが12人に対して、少ないが50人と回答数が多くなっていることだ。DUCは掘削されながらも採算性などの問題から完工が見送られているものであり、短期的な生産抑制要因であると同時に、将来的な増産余力として機能するものになる。足元の完工の遅れはEIAの統計以上に深刻なものである可能性が高い一方、増産余力はEIAの想定以上である可能性が示されている。

一方、石油業界幹部が想定している年末時点のWTI原油価格だが、レンジが48.00~75.00ドル、平均で56.92ドルとなっている。4~6月期の調査時点では、レンジが32.00~79.00ドル、平均で57.14ドルとなっていた。約3カ月で原油価格のレンジが急速に狭まっていると同時に、概ね50ドル台中盤から後半付近で原油価格が落ち着くとみている向きが多いことが示されている。

分布状況だと、55.00~59.00ドルを予想している向きが最も多く、次いで60.00~64.99ドル、50.00~54.99ドルとなる。回答数が比較的多いレンジは50~65ドル水準であり、ここ最近の価格レンジを踏襲するとみている向きが多い模様だ。

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(年末のWTI原油価格予想の分布)

石油業界が現行の原油価格が安過ぎてビジネス環境が悪化しているとみている以上、原油相場の急落は求められない。原油相場の急落が要求されるのは、シェールオイルの生産量を大幅に引き下げる必要性が浮上する程に、需要見通しが悪化した場合になる。一方で、原油価格さえ回復すれば大規模増産の余力が存在していることも確認されている。今回の調査からは、原油価格が大きく乱高下する必要性は乏しいことが読み取れる。