ホルムズ海峡防衛の有志連合構想、難しい判断を迫られる日本

(写真:ロイター/アフロ)

米政府は7月19日に、中東のホルムズ海峡などで船舶護衛を目的とする有志連合構想について、概要を説明することを明らかにした。5月以降はホルムズ海峡近辺で石油タンカーに対する攻撃が相次いでおり、10日にはイギリスの石油タンカーがイランの革命防衛隊の武装ボートに拿捕されそうになるなど緊張感が高まっているが(イラン側は英タンカー拿捕の意思を否定)、トランプ米政権が中東から原油を調達する各国に対して船舶護衛の負担分担を迫ることになる。

6月24日には、トランプ米大統領が「なぜ我々が代償もなしに他国のために(長年にわたって)船舶の航路を守っているのか」、「そうした国々(=中東からの原油輸入国)はすべて、常に危険な旅から自国の船を自国で守るべきだ」とTwitterに投稿したことが話題になっていた。シェール革命によって中東産原油への依存度を低下させた米国が、従来通りにホルムズ海峡の船舶運航を護衛する必要があるのか疑問視する発言を行っていたが、いよいよ各国に対して「ショウ・ザ・フラッグ(show the flag)」を迫った格好になる。

トランプ大統領は、政権誕生直後から各国に駐留する米軍の費用負担を相手国に迫っているが、中東のホルムズ海峡においても、米海軍のオペレーションの負担分担、ないしは費用分担を迫ることになる。更には、石油を「武器」として使用するイランとの対峙において、米国側につく明確な態度表明を求める意図もあるのだろう。実際に、イランは日本政府に対して、この有志連合構想に参加しないことを要請しており、日本としてはともに友好関係を構築している米国とイランとの狭間で難しい決断を迫られることになる。

資源エネルギー庁によると、日本は原油輸入量の8割強を中東地区に依存している。ホルムズ海峡は世界の原油消費量の2割、中東産原油の9割が通過する要所(チョーク・ポイント)であり、仮にホルムズ海峡の船舶運航が阻害されると、日本の原油輸入はその大部分が途絶えてしまうリスクを抱えている。その意味では、米国の要請に応えて有志連合構想に参加し、国際協調の下にホルムズ海峡近辺の石油タンカーの安全を確保するのが正解かもしれない。

しかし、自衛隊の中東への派遣、更には船舶の護衛、しかも自国以外の船舶も含まれると、現行法上のハードルは一気に高まることになる。岩谷防衛相も16日に、「この段階で自衛隊が参画することを考えているわけではない」として慎重姿勢を示している。

ただ、仮に有志連合構想に欧州やアジアの中東から原油を輸入する国々が参加を決断した場合、トランプ大統領が日本のただ乗り(フリーライド)を名指しで批判していることもあり、何も対応を講じないという選択肢があるのかは疑問視されることになる。

湾岸戦争の際には、巨額の戦費を負担しながらも自衛隊を派遣しなかったことが各国から強い批判を浴び、戦後のクウェートの「感謝広告」に日本の名前が挙がらなかったことについては、国内で論争を招いた。今回も法的問題をクリアして自衛隊を派遣するのか、費用分担だけを申し入れるのか、何も対応しないのか、米国との関係、イランとの関係をどうするのかなど、難しい問題が山積しているテーマで結論を下すことを迫られることになる。まずは7月19日の説明会で米政府がどのような案を示すのか、来週に日本を訪問予定の対イラン強硬派のボルトン米大横領補佐官が河野外相や谷内国家安全保障局長などとの会談でどのような要請を行うのかが注目されることになる。