ガソリン価格高騰で、給油を急ぐべきか否か

(ペイレスイメージズ/アフロ)

資源エネルギー庁が10月24日に公表した「石油製品価格調査」によると、レギュラーガソリンの全国平均価格(10月22日時点)は1リットル=160.0円となり、3年11ヶ月ぶりに160円台に乗せた。2016年3月7日時点の112.0円をボトムに僅か2年半という期間で48.0円(43%)も値上りしたことは、一般メディアでも家計への負担を高める動きとして大きく報じられている。これで8週連続の値上りであり、150円水準から160円台までの値上りペースの速さは注目に値する。

秋の行楽シーズンとあって早く給油した方が良いのか、それとも給油を少し待った方が良いのかは難しい問題だが、現在のガソリン価格環境においては、出来る限り給油時期を先送りするのが正解である。

ここ最近、中東ではサウジアラビアの反政府記者がトルコ領事館で殺害された事件が大きく取り上げられていることもあり、25日午前のTV番組ではこの事件の影響でガソリン価格が高騰していると解説しているものも多く見掛けた。つまり、今回のサウジを巡る混乱状態が原油高を通じてガソリン価格を押し上げているとのロジックである。

しかし、ガソリン小売価格は国際原油価格の値動きを瞬時に反映するものではなく、原料価格の高騰が反映されるまでには、一定のタイムラグを有している。さすがに10月上旬に発生した事件が直ちにガソリン価格の高騰を促すことはない。今回のガソリン価格高騰は、あくまでも米政府の対イラン制裁が11月4日をもって再開されることに伴う供給不安を反映したものであり、サウジの記者殺害事件は関係ない。

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■10月のガソリン先物価格は急落している

寧ろここ最近の国際原油価格は急落傾向にあり、現在のガソリン価格環境はいつ原油安の影響が反映されるのかといった視点にシフトしている。小売業者が、値上げよりも値下げに慎重なのはガソリンに限ったものではないが、ガソリンの原料である原油価格は10月に大きく値下りしている。例えば国際指標であるNY原油先物価格は10月3日の1バレル=76.90ドルをピークに、現在(10月25日)では66ドル台まで最大15%の急落となっている。

より国内ガソリン価格を正確に表すものには東京商品取引所(TOCOM)のガソリン先物市場が存在しているが、そこで最も受け渡し時期が近い期近物と呼ばれる価格は、1kl当たりで10月5日の7万6,240円をピークに、現在は6万5,000円台まで急落している。1リットル当たりでは10円以上の値下りだが、このTOCOMガソリン価格は小売価格を決定する際の指標の一つになるものであり、徐々に末端のガソリン小売価格にも値下り圧力が発生することになる。

実際に今週の小売価格統計でも、34道府県で値上りしたのに対して、11都府県では値下りしている。早ければ、10月31日に発表される次回統計では、「ガソリン小売価格が9週間ぶりに値下り」といった報道が行われる可能性も十分にある。

現在の原油価格の急落に関しては、1)世界的な株安、2)サウジとロシアなどの増産対応、3)製油所メンテナンスによる需要減退時期などの幾つかの要因が指摘可能であり、必ずしも原油価格がピークアウトした訳ではない。

サウジアラビアのファリハ・エネルギー鉱物資源相も、再び原油価格が100ドル台まで上がることを阻止できるかは「保証できない」と慎重姿勢を示している。世界各地で原油供給障害が発生し、現状はサウジやロシアなどが生産余力をフル活用することで増産対応を行っている状態であり、国際エネルギー機関(IEA)などは極めて危険な状態にあり、こうした生産余力が失われた状態では価格上昇を伴うことが多いと警告を発している。

また、サウジ情勢によっては、世界各国が政治経済制裁に踏み切り、それにサウジが報復を行うことで国際原油市場が大混乱に陥る可能性も残されている。現時点のサウジ公式見解としては政治と石油は分けるとして、信頼できる原油供給国としての役割は果たすとしているが、将来は不透明である。

このため、160.0円がガソリン価格のピークとまでは言えないが、例えば11月23~25日の連休頃のガソリン価格は、今よりも安値である可能性が高い。160円台乗せのニュースに慌てて給油を行うような必要性はない。

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