OPEC=ロシアへの信頼感で高止まりする原油価格

(写真:アフロ)

国際原油価格の高止まりが続いている。指標となるNYMEX原油先物相場をみてみると、年初の1バレル=60.20ドルから1月25日の66.66ドルまで急伸し、2014年12月以来の高値を更新している。その後は2月9日の58.07ドルまで急反落する場面もみられたが、今週は63ドル台まで切り返しており、改めて高値を更新する可能性も想定する必要性が生じ始めている。

国際エネルギー機関(IEA)が2月月報において「石油市場のファンダメンタルズ(基礎的条件)の価格支援は弱くなっているようだ」と指摘しているように、短期需給環境は必ずしも原油価格の高騰を支持していない。冬の需要期を終えて製油所はメンテナンス(定期補修)シーズンに突入しており、需要は端境期に突入している。それと連動して原油在庫に対しては改めて積み増し圧力が発生しており、在庫と価格との逆相関関係という教科書的な分析を重視すれば、原油価格の値下りは必至の状況とも言える。

また、ここ最近の原油高を受けて米国ではシェールオイルの生産活動が活発化しており、再び大規模な増産圧力が原油需給の緩和をもたらすリスクが浮上する中、寧ろシェールオイル生産を抑制するための原油安が必要なタイムゾーンとの評価も可能である。各種調査機関は毎月のように米国の産油量見通しを引き上げているが、このようなことを続けていれば、幾ら良好な需要環境が想定されているとは言っても、需給環境の安定化維持には限界がある。

実際に、2月初めの原油価格急落に関しては、1)世界的な株安、2)ドル高といった金融市場動向に加えて、3)季節要因に基づく在庫積み増し圧力、4)シェールオイル増産加速に対する警戒感といった需給動向が相場テーマとして設定されていた。その当時と比較すると、株安とドル高の影響は概ね排除された格好になっているが、在庫積み増しとシェールオイル増産の流れは何ら変化していない可能性が高く、少なくとも原油価格が急反発するような必要性は乏しかった。

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■シェール増産の脅威よりも、OPEC=ロシアへの信頼感

では、なぜ原油相場は短期需給要因に基づく値下りを拒否して、逆に上昇トレンドを形成しているのだろうか。

その答えの一つと言えるのが、石油輸出国機構(OPEC)やロシアといった産油国の政策調整に対する高いレベルの信頼感である。すなわち、「OPECやロシアが何とかしてくれるだろう」との楽観ムードが、原油市場に対する投機マネーの流入を促しているのである。

例えば、2月14日にはサウジアラビアとロシアのエネルギー相会合が実施され、サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は協調減産を拙速に行うことなく、需給が若干タイト化して在庫減少が着実な状況を作ってから、協調減産を終了させる意向を示している。18年中は協調減産を継続し、19年には減産解除の「出口」を検討するものの、その時には需給ひっ迫状態を作り出すことで、原油需給・価格に大きな混乱が生じることを回避する意向を示している。

同相やUAEのマズルーイ・エネルギー相からは、協調減産終了後もOPECとロシアの協力関係を維持し、一時的な緊急対応としての協調減産を、恒久的な政策フレームまで格上げする必要性についても言及が行われている。まだ具体的な内容にまでは踏み込んだ情報が出てきていないが、今後も「シェールオイルや深海油田などのタイトオイル」と「OPECやロシアなどの従来型産油国」との厳しい競合関係が想定される中、価格カルテルとしてのOPECにロシアも取り込むことで、改めて伝統的産油国の利益を守ろうとする動きが活発化している。

ロシアはOPECへの加盟には否定的だが、米国=中東関係が不安定化する中で、ロシア=中東関係の強化に注力しており、トランプ大統領の誕生で激変する中東情勢も、OPEC=ロシアの統一戦線構築とも言える動きを支援している。

今年、もしくは来年にも米国はサウジアラビアに続いてロシアの産油量も上回る世界最大の産油国になる見通しだが、OPEC=ロシアの協調ラインが有効に機能するのであれば、季節要因に基づく短期需給緩和圧力も、シェールオイル増産による需給緩和圧力も、乗り越えることが可能との楽観ムードが国際原油マーケットに広がっている。

必要以上の原油高は、OPECやロシアの需給コントロール失敗のリスクを高めることになり、特にシェールオイル生産見通しの急激な変化は原油需給・価格安定化に向けての大きなリスク要因になると考えている。ただ、過去1年以上にわたる協調減産と需要拡大によって世界の在庫環境は着実に正常化状態に近づいており、投機マネーは原油市場からの流出を拒否し続けている。OPEC=ロシアへの信頼を揺るがせるようなシェールオイルの増産圧力が見られるか否かが、今後の焦点になる。