OPEC総会まで残り1カ月、減産延長を予想する原油市場

(写真:ロイター/アフロ)

国際原油価格が高騰している。6月21日には今年最安値となる1バレル=42.05ドルまで下落していたが、9月下旬には50ドルの節目を完全に上抜き、10月30日の高値は54.46ドルに達している。これは約8カ月ぶりの高値である。

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こうした原油高の直接的なきっかけになっているのは、協調減産の延長を巡る議論が活発化していることだ。

石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどの主要産油国は年初から世界の原油供給の約2%を削減する協調減産を実施しており、2014年以降に大きく供給超過方向に傾いた需給バランスの歪みを正常化させる働き掛けを強化している。当初は今年6月までが減産期間として予定されていたが、シェールオイルの急激な増産などで思うように在庫の削減が進まない中、5月にはこの協調減産を2018年3月まで9カ月延長することが合意されていた。

その成果もあって世界の在庫は着実な減少傾向を見せ、国際エネルギー機関(IEA)によると1月末時点の経済協力開発機構(OECD)商業在庫が5年平均を3億1,800万バレル上回っていたのに対して、現在は1億7,000万バレル上回る状態まで、過剰在庫が解消されたと報告されている。しかし、来年3月までに過剰在庫が一掃されるかは疑問視する向きが多く、この状態で協調減産を取りやめてしまうと、減産解除(=増産)の動きが、改めて在庫急増を招く可能性もあり、マーケットでは減産幅の積み増しは無理としても、減産期間の延長は必要との見方が支配的だった。

実際に9月22日に減産状態の監視などを行う減産監視閣僚委員会(JMMC)では減産延長の可能性が議論されたが、同会合ではロシアやクウェートが結論を出すのは「時期尚早」と判断先送りの必要性を訴えたことで、減産期間の延長勧告が行われることはなかった。ロシアなどの立場からは、できれば国家財政へのダメージも大きい減産は早期に取りやめたいのが本音であり、最終的に減産期間の延長が必要としても、その判断は現行の期限である3月末の直前でも十分と考えていたためだ。

ロシアの協力が得られない協調減産の延長は考えられず、マーケットでは減産延長議論は先送りされ、2018年に再び供給過剰状態に陥ることに対する漠然とした不安心理が広がっていた。「出口論」の難しさは大規模な金融緩和策を展開してきた各国中央銀行を苦しめているが、産油国の協調減産の「出口論」についても、不用意な対応を行うと改めて原油需給バランスの崩壊、原油相場の急落を招くリスクが存在した。

この流れを変えたのが、サウジアラビアだった。サルマン国王はロシアのプーチン大統領とトップ会談を行い、プーチン大統領から9カ月の減産延長への支持を取り付けた。サウジアラビアは11月に単独で出荷削減を行う意向を示すなど、今回の協調減産によって原油需給・価格の安定化を実現することに強く意欲を示しており、協調減産延長にOPEC加盟国と非加盟国それぞれの最大産油国が合意を形成することに成功している。OPECのバルキンド事務局長はこの状況を受けて、OPEC総会に向けて「霧は晴れた」と先行きを楽観視する発言を行っている。

実際には、クウェートなどが依然として減産延長に慎重スタンスを崩しておらず、最終合意が実現するのかは不透明感が残る。ただ、2018年を通じて協調減産を継続することができれば、2018年末までには世界の余剰在庫を一掃することが十分に見通せる状況になる。次回のOPEC総会は11月30日の開催が予定されており、その前日となる11月29日にはJMMCの開催も予定されている。OPEC総会の前日に開催されるJMMCで9月に失敗した減産期間の延長勧告を行い、翌日のOPEC総会で加盟国・非加盟国が最終合意できるとの期待感が、原油価格の高騰を促しているのが現状である。

現段階では、年初の1月4日に付けた55.24ドルが今年の最高値になっているが、このままシェールオイル増産が急加速するようなことがなければ、需給バランス正常化の流れが、2015年6月以来となる60ドル台回復の可能性も浮上させることになりそうだ。