3月原油安をもたらした米原油在庫増のピーク近づく

(ペイレスイメージズ/アフロ)

NYMEX原油先物相場は、3月29日の取引で1バレル=49.63ドルまで値位置を切り上げ、10日以来となる約3週間ぶりの高値を更新した。3月22日には一時47.01ドルまで値下りしていたが、50ドルの大台回復が打診される局面になっている。

背景にあるのは、1)米国の原油在庫増加がピークを迎える可能性が高まっていること、2)リビアで武装勢力の攻撃によって供給障害が発生していることの二点である。特に重要なのは、3月の原油相場急落の起点となった米原油在庫の増加にブレーキが掛かるか否かの議論になろう。

米エネルギー情報局(EIA)は、現地時間の毎週水曜日に前週金曜日時点での米原油・石油製品在庫の統計を発表している。今年は年初からこの米国の原油在庫がほぼ一貫して増加していたことが、1~2月期に50~55ドル水準で高止まりしていた原油相場の急落を促していた。在庫増加を眺めた市場関係者の間で、産油国の協調減産による過剰供給解消が本当に実現するのか、懐疑的な見方が広がった結果である。昨年末の時点では4億7,901万バレルだった在庫は、直近の3月24日時点では5億3,398万バレルに達しており、「産油国の減産→米国の在庫取り崩し」の流れが確認できないことが、原油価格を強力に下押ししていた。

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ただ、こうした米原油在庫の積み増しに関しては、米国内製油所の稼働が例年よりも抑制された影響が大きく、国際エネルギー機関(IEA)などからは国際需給動向との連動性を疑問視する報告も行われていた。

それでも原油在庫の急増が続いていれば、原油市場関係者のマインド悪化は避けられず、実際に原油相場は40ドル台後半で下げ一服となったものの、反発は見送られ続けていた。しかし、直近の統計では前週比で僅か87万バレルの増加に留まったことで、そろそろ米国の原油在庫がピークを確認しても不思議ではないとの議論が浮上している訳だ。年初からは平均で492万バレル/週のペースで在庫積み増しが進んでいたが、需要が更に上振れするか、輸入・生産に若干のブレーキが掛かれば、在庫トレンドが増加から減少に転換する可能性も浮上してきている。

ここで参考になるのが製油所稼働率である。こちらもEIAから発表されている統計だが、2月17日の週には84.3%まで低下し、その後も85%水準を推移していた稼働率が、3月17日の週には87.4%、直近の24日の週には89.3%まで上昇しているのである。これは、製油所のメンテナンスシーズンが漸くピークを過ぎて、今後はドライブシーズンに向けて製油所稼働率が90%台回復に向かう兆候と言える。

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このような製油所稼働率の動きについては例年みられる季節トレンドに過ぎないが、今年は製油所メンテナンスシーズンが例年よりも長期化していたため、マーケットでは製油所向け原油需要の先行きを不安視する向きも多かった。しかしここにきて漸く製油所稼働率が上昇傾向を強める中、原油在庫の取り崩しが改めて原油価格の上昇を促すことができるか否かを打診する局面に移行し始めている。

米国の原油在庫は直近で5億3,400万バレルとなっているが、これは前年同期を約3,000万バレル上回っている。このために在庫にひっ迫感が浮上するような状況にはないが、3月の原油相場急落をもたらした米国の原油在庫増加トレンドにブレーキが掛かり始める中、今後は在庫減少が確認された際に原油安是正の動きがみられるか否かが注目される局面になる。