産油国の減産延長は必要なのかという疑問

(写真:ロイター/アフロ)

石油市場では産油国が協調減産の延長・拡大に踏み切るのではないかとの議論が活発化している。

石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国が協調減産に踏み切ってから間もなく3か月が経過しようとしているが、国際原油需給のリバランス(=過剰在庫の解消)に対して根強い不透明感があることに加えて、原油価格が産油国の期待していたレベルの良好なパフォーマンスを実現しているとは言い難いため、追加施策の必要性が認識され始めているためだ。

OPEC加盟国と非加盟国は、国際原油需給の過剰供給状態に終止符を打つために、昨年10月時点を基準産油量として年初から合計で日量173万バレルの協調減産を実施している。特に年前半は季節要因から石油需要が抑制されるため、その時期に減産を実施することで政策的に供給不足状態を発生させ、過剰な在庫水準を正常化することが目指されていた。

しかし、米国の原油在庫が年初からほぼ一貫して増加を続け、更には1~2月期には1バレル=50~55ドル水準で取引されていた原油価格が、3月には45~50ドル水準まで値下がりする中、減産期間の延長が必要ではないかとの議論が提起されている。

今回の協調減産の合意はあくまでも1~6月期が対象期間であり、その後については5月25日のOPEC総会で決定する方針になっている。昨年11月にOPECが協調減産で合意した時点では、1~6月期の協調減産で十分な効果があり、7~12月期の減産継続は必要ないとの見方が支配的だったためだ。ただ仮に協調減産の延長が必要であれば、遅くても4月下旬には本格的な協議をスタートすることが必要であり、一部産油国が早くも減産期間延長の議論を提起し始めている。

特に、これまで減産延長議論は時期尚早との発言を繰り返していたサウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が減産延長の必要性について言及し始めたことは大きな変化であり、一部メディアからは3月26日に開催された減産監視委員会の場で減産期間の延長が勧告されるといった観測報道も行われていた。この観測報道は実現しなかったが、議長国のクウェートは4月末までに一定の結論を出す意向を示している。

■協調減産の延長に効果はあるのか?

一方、冷静に国際原油需給をみれば、減産期間の延長は必要ないといった議論もある。米ゴールドマン・サックス・グループも、協調減産は1~6月期で十分に目的を果たしたとして、減産延長には反対の意向を示している。国際エネルギー機関(IEA)なども、今後の在庫取り崩しに関しては楽観的な見通しを示している。

ただ、それにもかかわらず協調減産延長の議論が活性化していることは、やはり産油国の協調減産が、「過剰在庫の解消」ではなく「原油価格の押し上げ」ではないかとの疑惑を抱かせることになる。OPECなどは、あくまでも過剰在庫を正常化するのが、今回の協調減産の目的であり、価格についてはターゲットを設定していないと繰り返し説明している。しかし、原油価格の軟化で直ちに減産延長議論が浮上していることからは、需給ではなく価格が政策課題になっている可能性を強く示唆している。

そして、シェールオイルの採算ラインが切り下がる中、油価が60ドル前後まで上昇すればシェールオイルの増産圧力が指数関数的に強まる可能性が指摘されていることは、仮に価格押し上げを狙って協調減産を延長しても、60ドル水準が当面の原油高の限界になる可能性を示している。

当然に原油価格はオーバーシュート気味の値動きをすることも少なくなく、季節要因の支援や突発的な供給トラブルなどがあれば、60ドル台乗せから瞬間的に更に大きく上昇する可能性もある。ただ、65ドルや70ドルといった価格水準を長期にわたって維持するハードルは、仮に協調減産が延長されたとしても決して低いものではない。