豊作確定で、今季の穀物価格は安い

(写真:アフロ)

国際穀物価格の低迷傾向が一段と顕著になっている。CBOTトウモロコシ先物相場は6月8日の1Bu=439.25セントをピークに、足元では330セント水準まで値下がりしている。大豆先物相場も6月10日の1Bu=1,208.50セントに対して、9月中旬は950セントの節目割れを打診する展開になっている。

(注)Bu(ブッシェル)は穀物重量の単位。トウモロコシの場合は25.4kg、大豆の場合は27.2kg。

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こうした穀物価格が値下りしている背景にあるのは、2016/17年度産の米国産穀物が記録的な豊作環境なることが確定に向かっていることだ。米農務省(USDA)の最新推計によると、イールド(単収)と言われる単位面積当たりの収穫量は、トウモロコシが1エーカー当たり174.4Bu(前年度は168.4Bu)、大豆が同50.6Bu(48.0Bu)と予想されている。これはともに過去最高の水準である。トウモロコシの170Bu台は14/15年度の171.0Buに続いて二回目、大豆の50Bu台に至っては米国の穀物史上で初めてのことである。

米国産穀物は13/14年度から昨年まで3年連続の豊作状態にあり、シーズン初めの段階では過去の経験則から「4年連続の豊作は難しい」との見方も強かった。しかし蓋を開けてみれば、春先の作付け作業は順調に進み、その後の生育期もホット・アンド・ドライ(高温乾燥)という天候障害は回避され、7~8月にかけての受粉もほぼ理想的な状態で過ごすことができた。エルニーニョ現象の影響で南米産の供給に障害が発生したことで5~6月にかけては米国産穀物相場も上昇したが、その後はほぼ一方的と言っても良い値下がり傾向が観測されている。

通常だと、この時期の穀物相場は「天候相場」という天気予報に一喜一憂する乱高下し易い時期になるが、今季は目立った天候リスクが実現せずに、常に豊作見通しを確認する形で「天候相場」を消化してきた。その結果が、上述のような過去最高のイールド見通しであり、それがいよいよ収穫されて市場に出回る時期が近づいている訳だ。これを穀物相場の世界ではハーベスト・プレッシャー(収穫圧力)と呼ぶ。収穫物が出回ることで現物市場の需給緩和圧力が強まる中、先物価格も年間で最も値下がりし易い時になる。

USDAによると、9月25日時点の収穫進捗率はトウモロコシが15%(前年同期16%、平年19%)、大豆が10%(前年同期17%、平年13%)となっており、まだ多くの収穫物が農地に存在している。このために、長雨や早霜などの天候障害が発生すると、イールド見通しが下方修正される余地は残されている。実際に9月上旬には雨がちな天候を受けて品質悪化に対する懸念が穀物相場を押し上げるような場面も観測されている。しかし、収穫作業は、数日といった短期間でも乾燥した天気が続けば一気に消化できるものであり、需給緩和が決定的となった今季の安値を確認するステージが続き易い。

なお、期末在庫(年度末17年8月時点の在庫)見通しは、トウモロコシが12/13年度の8.21億Buから23.84億Bu(前年度は17.16億Bu)まで急増する見通しになっている。大豆も12/13年度が0.92億Buだったのに対して、今年度は3.65億Bu(同1.95億Bu)が見込まれている。このまま大きなトラブルがなければ、記録的な豊作と潤沢な在庫が国際穀物相場を押し下げることになり、円高の影響もあって日本の輸入トウモロコシや大豆価格もアベノミクス開始後の最安値水準が実現することになる。

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