円売り介入を巡る日米のつばぜりあい続く

(写真:アフロ)

ルー米財務長官は5月13日、今月20~21日に開催される7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を控える中、「強いドル」が米国の国益とする基本スタンスに変化がないことを確認する一方で、通貨切り下げ競争の回避を再確認する必要があるとの見方を示した。

世界各国で通貨安にフレンドリーな金融政策が展開される中、2014年後半から15年にかけては、米国が通貨高の負担を一身に背負う展開が続いてきた。しかし、米経済も急激な通貨高の負担を背負い続けることが困難な経済・政治環境になる中、米国は通貨安競争の終結に向けての働き掛けを強化している。

4月29日に米財務省が公表した為替報告書において、日本、中国、ドイツ、韓国、台湾の五カ国を「監視リスト」に指定して、将来的な「為替操作国」認定の可能性を警告したことがシンボリックだが、過剰な対米貿易黒字、過剰な経常黒字、大規模な為替介入を行っている国などに対しては、通貨安誘導的な動きに対する対決姿勢を隠そうとしなくなっている。

そしてこのタイミングでのG7財務相・中央銀行総裁会議に向けての「通貨切り下げ競争の回避」発言であるが、G7の構成メンバーから考えても、特に日本の動きを念頭に入れたものであることは間違いなさそうだ。

麻生財務相は5月10日、急激な円高が進行していることを受けて、「急激な為替変動が経済に良い影響を与えないことはG7、G20で合意している」として、仮に円売り介入に踏み切っても国際的な批判は避けられると認識していることを強く示唆していた。また、「米財務省・為替報告書で日本の為替政策は制約されない」ともにして、円高阻止の政策対応に含みを持たせていた。こうした中、ルー米財務長官は「(ドル/円相場について)秩序を保っている」との認識を再確認し、「偏った動き→円売り介入が正当化される」との日本の財務省の主張を強くけん制した格好になっている。

4月16日には、ワシントンで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議の記者会見の場でも、ルー米財務長官と麻生財務相との間で、ドル/円相場は秩序立っているか否かの激しいつばぜり合いが行われ、「円売り介入を正当化しようとする日本」と「円売り介入に断固反対する米国」との立場の違いは際立っていた。その後、更に円高・ドル安が進行したことで日米の円売り介入に対する認識に変化がみられるか否かが注目されていたが、今回のルー米財務長官の発言は、円売り介入は米国から強力な反発を招く可能性が高いことを認識させるものになっている。