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NY原油17日:過剰供給の長期化懸念が強く、35ドル割れ

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油1月限 前日比0.57ドル安

始値 35.80ドル

高値 35.84ドル

安値 34.63ドル

終値 34.95ドル

引き続き過剰供給に対する警戒感が強いことに加えて、為替がドル高方向に振れたことが嫌気され、期近主動で続落した。

何か目新しい材料が浮上している訳ではないが、引き続き石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りで過剰供給の長期化懸念が強いことに加えて、前日に発表された米原油在庫が予想外の増加となったことが嫌気され、戻り売り優勢の展開になっている。アジアタイムは35ドル台前半を中心に揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入り後に35ドルの節目を下抜いている。その後は下げ一服となったが、35ドル水準が抵抗となり、本日の安値圏で引けている。

また、米ゴールドマン・サックス・グループが、改めて過剰供給の長期化懸念を示し、原油相場が20ドルまで下落するリスクに注意を喚起したこともネガティブ。従来は20ドル台突入の可能性は大きくないとしていたが、強制的に生産を停止させるには更に原油安を進める必要性を指摘している。弱気スタンスが一段と強化されたとの見方が、投機筋に売り安心感を誘っている。

OPECサイドから原油安是正に向けた取組などは確認できず、原油安に政策的な対応を望めない以上、更に原油安を進めて協調減産を促すか、高コストのタイトオイルに減産を迫ることが要求される。国際原油需給の緩和見通しを修正するのが困難な状況が続く中、原油相場はなお下値不安の大きい相場展開が続き易い。シェールオイルの減産傾向にもブレーキが掛かっており、更に生産調整を促すプレッシャーが要求されている。35ドルの節目割れで達成感もあったが、改めて30ドル台前半へのコアレンジ切り下げを打診する動きが強くなっている。季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かり易いことに注意が必要だが、自立反発的な動きに留まろう。ドル安圧力も一服しており、なお下値不安の大きい相場環境を想定しておきたい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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