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NY原油14日:安値更新も、35ドル割れで買い戻し膨らみ反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油1月限 前日比0.69ドル高

始値 35.40ドル

高値 36.70ドル

安値 34.53ドル

終値 36.31ドル

35ドルの節目割れで短期的な目標達成感が広がる中、反発した。

アジア・欧州タイムは戻り売り優勢の地合が維持され、特に欧州タイム終盤には大きく売り込まれる展開になった。特に目新しい材料などは見当たらなかったが、引き続き過剰供給の長期化懸念が上値を圧迫している。ただ、ニューヨークタイムに入ると35ドルの節目割れを受けて目標達成感からショートカバー(買い戻し)が膨らみ、プラス圏に切り返している。11日に発表された建玉報告で、投機筋の売りポジション急増が確認されていたことも、ポジション調整を促した模様。

もっとも、原油需給見通しに改善を迫るような動きがある訳ではなく、あくまでも自立反発との評価で十分だろう。原油相場は5ドル単位で動く傾向が強いため、35ドルでのサポート確認が続くと、35~40ドルが支持線として確認され、40~45ドル水準までの反発リスクも浮上する。ただ、需給リバランスの遅れという基本環境に変化がみられない限りは、ボトム確認には慎重姿勢が求められる。リーマン・ショック後の最安値33.55ドルまで1ドルを切っている。

引き続きOPECサイドから原油安是正に向けた取組などは確認できず、原油安に政策的な対応を望めない以上、更に原油安を進めて協調減産を促すか、高コストのタイトオイルに減産を迫ることが要求される。国際原油需給の緩和見通しを修正するのが困難な状況が続く中、原油相場はなお下値不安の大きい相場展開が続き易い。目先は、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かった際、そして35ドルの節目に到達した際に、どの程度の反発力が見られるのかが注目される程度である。まずは35ドルの節目でサポートが確認されているが、ここでのサポートがどの程度の強さを有しているのかを打診するステージになる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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