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NY金11日:ドル安・株安で反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金2月限 前日比3.70ドル高

始値 1,071.40ドル

高値 1,078.60ドル

安値 1,061.70ドル

終値 1,075.70ドル

為替がドル安方向に振れたこと、株価が急落したことが好感され、反発した。

アジア・欧州タイムは手掛かり難から1,060ドル台後半を中心に揉み合う展開になり、欧州タイムには一時1,061.70ドルまで軟化する場面も見られた。しかし、ニューヨークタイムに入るとドル安・株安といった外部環境に刺激を受けて、改めて安値是正の動きが優勢になっている。1,070ドル台後半で上げ一服となるも、特に大きく戻りを売り込むような動きもみられず、プラス圏で引けている。もっとも、新たなトレンド形成を打診するような動きまではみられず、最近のボックス圏内でのリバウンドに留まっている。

15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、金相場は方向性を失っている。同会合では約10年ぶりの利上げ着手がほぼ確実視されているが、投資環境の大きな変化を受けてドル高トレンドの転換を予測する向きも少なくなく、イベント前に更に金相場を売り込むことが躊躇されている。ドル相場も大きく値崩れを起こすには至っていないがドル高傾向にブレーキが掛かっており、金相場はイベント待ちのムードを強めている。

加えて、原油安が金融市場全体を不安定化させる中、本日は米株価が急落したこともサポート要因になっている。原油安で資源会社の業績環境が悪化していることに加えて、資金調達先であるハイイールド債のデフォルトなども警戒される中、投資環境の不確実性が金価格に一定のサポートを提供している。

引き続き株価動向には注意が必要であり、FOMC、クリスマス休暇を控えてボラティリティが高まり易くなっている。自立反発的な動きでも、1,100ドル水準まで戻す程度のエネルギーは想定しておく必要がある。ただ、ドルに対する信認回復の大きな流れに変化がなければ、一時的な戻り圧力の有無との視点に留まろう。改めて1,050ドルの節目割れが打診される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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