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NY原油4日:反落、OPEC総会では減産対応見送り

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油1月限 前日比1.11ドル安

始値 41.31ドル

高値 42.00ドル

安値 39.60ドル

終値 39.97ドル

石油輸出国機構(OPEC)総会を受けて、過剰供給体制が続くとの見方が再確認される中、反落した。

アジア・欧州タイムは41ドル台で底固い展開になったが、OPEC総会で政策変更見送りが確認されると、一気に40ドル割れの急落地合になっている。その後は40ドルの節目を挟んで下げ一服となったが、特に押し目買いやショートカバー(買い戻し)を進めるような動きはみられず、本日の安値圏で引けている。

OPEC総会に関しては、事前にサウジアラビアが協調減産で合意したといった報道も流れていたため、何らかの市況対策で合意されるリスクも警戒されていた。しかし、ロシアなどOPEC非加盟の主要産油国が生産調整に非協力的なスタンスを維持する中、OPEC内で減産合意を形成することは難しく、結果的に現行政策の修正は行われないことになった。

今会合ではインドネシアの再加盟が承認されたことで、それに伴い生産目標がどのように修正されるのかも注目されていた。しかし、OPECは来年6月の次回会合までこの問題を持ち越すスタンスを示しており、インドネシア再加盟に伴う生産目標修正も見送られている。

イランやベネズエラなどからは不満の声も聞かれるが、当面はOPEC主導で需給リバランスの動きが加速するような事態は見送られることになる。OPECの産油水準には大きな変化は生じないことになり、原油安誘導で高コストのタイトオイルに対して市場からの退出を迫るフローが維持されることになる。

国際原油需給の緩和見通しを修正するのが困難な状況が続く中、原油相場はなお下値不安の大きい相場展開が続き易い。OPECが原油需給・価格に再び責任を持つような大規模な政策転換は見送られており、このまま下押し圧力の強い相場展開が維持される見通し。現行価格でも減産圧力が確認できる中、ここから急落するような必要性までは認めていないが、少なくとも大きく反発して減産圧力を緩めるようなことは許容されていない。目先は、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かった際に、どの程度の反発力が見られるのかが注目される程度である。40ドル割れ定着が打診されよう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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