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NY金4日:大幅続伸、米雇用時計は良好も買戻しが膨らむ

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金2月限 前日比22.90ドル高

始値 1,062.00ドル

高値 1,088.30ドル

安値 1,057.20ドル

終値 1,084.10ドル

11月米雇用統計は強めの内容になったが、為替相場に目立った動きがみられなかったことで金相場は大幅続伸になった。

アジア・欧州タイムは1,060ドル台前半で揉み合う展開になったが、米雇用統計発表後は一気に1,080ドル台後半まで急伸する展開になった。雇用統計の内容そのものは良好であり、12月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ着手を支持するに足る数値になった。ただ、前日の欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和策が市場予測を下回ったことも響き、改めてドル買い・ユーロ売りを進める動きは鈍く、金相場を大きく押し下げることには失敗している。逆に前日のショートカバー(買い戻し)を進めた流を引き継ぐ展開になっており、大幅続伸になった。

11月米雇用統計だが、非農業部門就業者数は前月比+21.1万人となった。失業率は同変わらずの5.0%になっている。サプライズという程に強い数値ではないが、世界経済の減速懸念が強まる中でも米経済は着実に雇用を創出していく能力を有していることが確認でき、米金融政策の正常化プロセスが支持されている。

こうした状況下で金価格が急伸したことに対しては違和感も強く、2016年の急激な金利上昇軌道を織り込めなかった影響といった指摘が聞かれる。ヘッドラインは良好だったが、長期失業者や非自発的なパートタイム就労といった問題解決は進んでいないことで、初回利上げ後の利上げペースは緩やかなものに留まる可能性が高く、それが改めてドル相場高・金相場安を阻害したとのロジックである。

ただ、ドル相場は特に急伸している訳ではなく、今回の雇用統計を受けて金相場のダウントレンドが修正を迫られるようなことはないと考えている。なおECB理事会の余波も残る中、ボラティリティの高い不安定な相場環境になっている影響が、売り方ファンドのポジション調整を迫ったとの理解で十分だろう。

米金融政策正常化プロセスは着実に進展し、金融市場ではドル高・米長期金利上昇圧力が強まり易い環境に変化はみられない。こうした中で、金市場に対して投機マネーが本格流入するようなシナリオを描くのは難しい。FOMC、クリスマス休暇に向けて不安定な地合が続き易いが、金相場のダウントレンドは維持されよう。自立反発でも1,100ドル水準まで戻す程度のエネルギーは残されているが、1,000ドル割れを目指す下値切り下げ傾向は維持される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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