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NY原油1日:OPEC総会を控えて、強弱まちまち

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油1月限 前日比0.20ドル高

始値 41.73ドル

高値 42.23ドル

安値 41.17ドル

終値 41.85ドル

期近安・期先高と強弱まちまちの展開になった。石油輸出国機構(OPEC)総会を控えて、積極的な売買は見送られている。

OPECが生産調整に動くことはないとの見方がが原油相場の上値を圧迫する中、アジア・欧州タイムは総じて戻り売り優勢の展開になった。42ドル水準で上値の重さが確認される中、ドル高の影響もあって主に欧州タイムに値位置を切り下げる展開になった。ただ、ニューヨークタイムに入るとドル高一服の影響もあって買い戻しが膨らみ、大きな値動きに発展することはなかった。

OPEC総会に関しては、特に目新しい動きは確認できていない。ただ、いずれにしてもOPECが生産調整に踏み切って原油価格に対するテコ入れを行うと予測する向きは少なく、原油相場の反発力は限定される見通し。OPECはあくまでも市場シェアの維持・拡大を重視しており、過剰供給と原油安の是正は市場機能に委ねる基本方針を崩していない可能性が高い。ロシアなどOPEC非加盟国の協力を得ることも難しく、OPECは引き続き原油価格の下押しを黙認する見通し。

米製油所稼働率の上昇で米国内原油在庫の積み増し圧力にはブレーキが掛かり易く、今週は前週比で110万バレル程度の在庫の取り崩しを予測している向きが多い。ただ、過剰在庫環境に修正を迫るような動きに発展するには、寒波といった需要を強力に刺激する動きが必要不可欠であり、米国内需給要因を手掛かりに安値是正を進めるのは困難との評価を維持している。

40ドルの節目にサポートされて短期リバウンド局面を迎えたが、なお需給リバランスの完結見通しが立ちづらい状況にある中、下値不安が大きい相場環境が続く見通し。ドル高圧力が継続していることもネガティブ。北米で厳しい寒波が観測されるといったポジティブ材料が浮上しない限りは、反発余地は限定されよう。現行価格でも減産圧力が確認できる中、ここから急落するような必要性までは認めていないが、少なくとも大きく反発して減産圧力を緩めるようなことは許容されていない。目先は、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かった際に、どの程度の反発力が見られるのかが注目される程度である。40ドル割れが打診されよう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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