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NY金24日:トルコがロシア機撃墜で、反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比7.00ドル高

始値 1,068.50ドル

高値 1,080.70ドル

安値 1,068.10ドル

終値 1,073.80ドル

トルコ軍がロシア軍機を撃墜したことを受けて、安全資産の観点から買いが膨らみ反発した。

アジアタイムからやや安値是正の動きが優勢になっていたが、トルコがロシアのジェット機をシリア北西の国境近くで撃墜したとの報が伝わると、一気に1,080.70ドルまで急伸した。その後は引けにかけて上げ幅を削る展開になったが、1,075ドル水準で下げ止まり、プラス圏を維持して引けている。

トルコ側はロシア軍機の領空侵犯を主張するも、ロシア側はそれを否定しており、この問題は国際情勢を一段と複雑化させることになる。「イスラム国」に対して歩み寄りが見え始めていた米欧とロシアの協力関係にも暗雲が立ち込めることになり、漠然とした先行き不透明感がリスク資産から安全資産に対する資金シフトを促している。米株式相場が安寄り後に切り返すなど、現時点でこの問題は本格化していない。基本的には、フランス・パリの同時爆破テロのように一時的な上昇圧力に留まると考えている。この問題だけで、金相場が断続的に値位置を切り上げることはないだろう。ロシア側の対応などによっては国際情勢が一段と不安定化する可能性もあるが、今後の展開に注意を払う程度で十分である。

本日は7~9月期米国内総生産(GDP)の改定値が発表されている。速報の前期比年率+1.5%から+2.1%までの上方修正が行われているが、地政学的リスク関連のイベントによって、マーケットの関心を集めることに失敗している。ただ、中国経済が急減速した7~9月期でさえも米経済が2%を超える成長率を維持できていたことは高く評価でき、米金融政策の市場化プロセスを支持することになるだろう。

目先は地政学的リスクの展開状況に注意が必要だが、特に金相場が本格上昇する必要性は見出せない。10月下旬から急落傾向が続いてきていただけにリバウンドリスクには注意が必要だが、1,050ドル、1,000ドルと下値切り下げを打診する展開は維持される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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