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NY原油30日:週末・月末を控えて買い戻しが膨らむ

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油12月限 前日比0.53ドル高

始値 45.74ドル

高値 47.03ドル

安値 45.48ドル

終値 46.59ドル

週末・月末を控えて短期筋の買い戻しが膨らむ中、堅調に推移した。

アジアタイムは45.50~46.00ドル水準で揉み合う展開になったが、欧米タイムに入ると買い戻しが膨らみ、46ドル台中盤までコアレンジを切り上げている。何か目新しいポジティブ材料が浮上した訳ではないが、米国の製油所向け原油需要が回復に向かうとの観測から、カレンダー要因もあって売りポジションの整理が促されている。米ベーカー・ヒューズ社発表の石油リグ稼動数が前週比-16基の578基と再び大きく減少したこともポジティブ。

米製油所稼働率は既に2週連続の上昇になっており、製油所の定期メンテナンスが一巡した可能性が示唆されている。今後は冬の暖房油生産のために製油所向け原油需要は回復する可能性が高く、米原油在庫の増加傾向にはブレーキが掛かる可能性が高い。なお過剰在庫環境とあって原油相場が急伸するまでの必要性は認められないが、短期スパンでの売り材料が一つ解消される時期を迎える中、投機筋が売りポジションの利益確定を進めている。

Bloombergによると、10月の石油輸出国機構(OPEC)産油量は日量3,221.1万バレルとなった。前月から7万4,000バレルの増加となる。9月分も8万9,000バレル上方修正されており、OPECの大量供給体制が維持されていることが再確認できる。シェールオイル減産の影響を相殺する動きであり、なお、需給要因からは大きく上昇する必要性は見出せない。

米原油在庫環境が季節要因から転換期を迎える中、投機売りの勢いは間違いなく鈍化している。米原油在庫の増加トレンドが減少トレンドに転換すれば、50ドル台回復の可能性も想定される。ただ、あくまでも季節トレンドの転換期に伴う一時的な買い戻しが膨らむか否かとのレベルの議論に留まる見通しであり、原油相場が大きく上昇する必要性は見出せない。

ここ最近の下げ相場は、「米国の原油在庫が増加傾向にある」ことも一因になっていただけに、米国内需給環境が変化を見せれば、弱気のセンチメント是正の動きが強まるリスクには注意が必要。安値低迷が継続するとの基本見通しに変化はないが、この時期の下値攻略に失敗すると、年末にかけて大きく下値を切り下げるためには暖冬といった新たなネガティブ材料が要求される。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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