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NY原油29日:強弱材料が交錯し、期近安・期先高とまちまち

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油12月限 前日比0.12ドル高

始値 46.06ドル

高値 46.79ドル

安値 45.16ドル

終値 46.06ドル

期近安・期先高とまちまちの展開になった。米国内需給の緩和状態がピークを脱したとの見方で期近は小幅は続伸するも、期先は過剰供給の長期化懸念で下落し、明確な方向性を打ち出せていない。

アジア・欧州タイムは前日の急伸を受けて戻り売り優勢の展開になったが、45ドルの節目割れを打診するまでの勢いは見られなかった。ニューヨークタイム入り後に改めてショートカバー(買い戻し)で地合を引き締めるも、引けにかけては再び戻りを売られるなど、決め手を欠いている。

前日に発表された米原油在庫は前週比+337.6万バレルとなったが、製油所稼働率が2週連続で上昇し、クッシング原油在庫が2週連続で減少する中、季節要因に基づく需給緩和状態はピークを脱したとの見方が優勢になっている。まだ全米では前年同期を1億バレル前後上回った在庫水準が維持されており、需給タイト化が意識されるような状況にはない。ただ、在庫増加圧力がピークアウトすれば、少なくとも期近限月から大きく値崩れを起こす必要性は薄れることになる。

あくまでも過剰在庫環境が更に悪化するリスクが後退するのみであり、原油相場の安値是正が本格化するとは考えていない。ただ、この季節特有の強力な売り材料が解消に向かうのも事実であり、戻り売り優勢の地合に若干の変化が見受けられる。安値圏で膠着化するリスクが上昇傾向にある。ここ最近の下げ相場は、「米国の原油在庫が増加傾向にある」ことも一因になっていただけに、米国内需給環境が変化を見せれば、弱気のセンチメント是正の動きが強まるリスクには注意が必要。安値低迷が継続するとの基本見通しに変化はないが、この時期の下値攻略に失敗すると、年末にかけて大きく下値を切り下げるためには暖冬といった新たなネガティブ材料が要求される。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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