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NY原油26日:続落、過剰在庫に対する警戒感が根強い

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油12月限 前日比0.62ドル安

始値 44.74ドル

高値 44.94ドル

安値 43.84ドル

終値 43.98ドル

特に目新しい材料はなかったが、過剰供給に対する警戒感が強く、期近主導で続落した。

アジアタイムは44ドル台中盤から後半で底固く推移するも、45ドルの節目を回復するには至らず。その後はニューヨークタイム入りしてから徐々に戻り売り圧力が強まり、引けにかけては一気に44ドル台を割り込む展開になっている。為替相場はドル安方向に振れており、本来であれば安値是正を進める選択肢もあった。しかし、原油市場ではそれ以上に需給緩和に対する警戒感が強く、下値切り下げ傾向を見せている。

先週末に発表された米石油リグ稼動数が減少傾向を示すなど、シェールオイルの生産環境は良好とは言い難い。しかし、季節要因から米国内原油在庫に対する積み増し圧力が強まる中、改めて過剰供給に対する警戒感が強くなっている模様だ。あくまでも季節要因に基づく動きだが、前年同期を1億バレル前後も上回る原油在庫環境にある中、少なくとも早期の原油価格回復は困難との見方が強くなっている。この影響は特に期近限月に強く現れており、順ザヤが改めて拡大傾向を見せている。

もっとも、2015年12月限の43.98ドルに対して、1年後の16年12月限は50.42ドル。両限月のスプレッドは6.44ドルに達しており、これ以上のサヤ拡大が見られると在庫保管コストとの比較から期近買い・期先売りの裁定が機能し始める。その意味では当限主導の急落が続くとは考えていないが、期先の値位置も50ドル割れを打診し始める中、急落リスクこそ限定されるが上値の重い展開が続き易い。

引き続き過剰供給に対する懸念が強く、特に季節要因から米原油在庫に対する積み増し圧力が強まる中、原油相場の下値不安は大きくなっている。ドル安圧力が一服していることもあり、40ドル割れを打診する展開が維持されよう。ただ、40ドル水準ではシェールオイル生産が持続困難なことが再確認される中、40ドル割れからの深追いは避けるべきだろう。瞬間的には大きく下押しされる可能性も残されているが、これ以上の安値は持続可能性が乏しい。35~60ドル水準をコアとした安値ボックスを想定しており、突っ込んだ局面では逆に買い拾っても問題はない。短期スパンで戻り売り対応を継続し、突っ込んだ局面で押し目買い優勢の地合に転換する見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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