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NY金26日:ドル反落で反発、FOMC待ちのムード

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比3.40ドル高

始値 1,163.80ドル

高値 1,169.60ドル

安値 1,162.00ドル

終値 1,166.20ドル

為替がドル安方向に振れる中、ドル建て金相場は反発した。

23日の取引では急激なドル高が金相場の上値を圧迫したが、1ユーロ=1.100ドルの節目に到達する中、本日はドルが反落している。この結果、アジアタイムから金相場は安値是正の動きが強く、ニューヨークタイム序盤には1,160ドル台後半まで値位置を切り上げた。ただ、明日から米連邦公開市場委員会(FOMC)がスタートする中、積極的に上値を買い進むような動きは鈍く、引けにかけて上げ幅を削る展開になっている。出来高も23日の半分程度まで落ち込んでおり、全体的に売買見送りムードが強かった。

本日は為替がドル安方向に振れたが、何かドルに対して強力なネガティブ材料が浮上してきた訳ではない。9月米新築住宅販売高は前月比-11.5%の46.8万戸と大きく落ち込んだが、ドルはアジアタイムから軟化しており、単純にFOMC前のポジション調整とみて良いだろう。今週のFOMCではイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)の記者会見などは予定されていないが、仮に12月利上げ着手があるとすれば声明文レベルで何らかの示唆があるとみられることで、イベントリスクとしては低くない。現在の経済環境で今後の金融政策について明確な言質を与えるようなことはないとみられるが、米金融政策に不確実性が強まる中、まずはFOMC声明の内容をみてから次の見通しを構築したいと考えている向きが多い模様。

CRB商品指数は前日比-1.43の192.28ポイントと本日も大きく下落しており、概ね9月米雇用統計発表前の値位置に回帰している。中銀の流動性供給が継続するとの見方から10月前半は急伸したが、その後は戻り売り優勢の展開になり、概ね1ヶ月前の安値水準に回帰している。これは、商品市況全体の中で金価格の割高感を高めており、ドルに対する割高感と同様に、他商品市況に対しても割高感が目立つ状況になっている。米利上げ期待が再び盛り上がっていけば、1,100ドル割れはそれほど困難ではない投資環境になっている。

既に利上げ先送り観測は十分に織り込んだ状況になっており、ここから更に上値を切り上げる余地は多く残されていない。改めて売り込むには米金融政策の正常化プロセスに対する信認を取り戻すことが必要不可欠だが、まずはFOMC、そしてその来週の10月雇用統計でダウントレンドを確立できるのかが試される。

マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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