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NY金21日:ドル高、原油安、テクニカル要因で反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比10.40ドル安

始値 1,175.50ドル

高値 1,179.30ドル

安値 1,163.20ドル

終値 1,167.10ドル

特に目立った材料は見当たらなかったが、ドル高や原油安などを手掛かりとした売りが膨らみ、二桁の急反落になった。

アジア・欧州タイムは決め手難からポジション調整中心の展開になり、1,174~1,178ドルをコアに揉み合う展開に。ただ、ニューヨークタイム入り後にまとまった売りが入り、安値更新からストップロスを巻き込む形で、一気に下げ幅を拡大した。1,164~1,168ドル水準で下げ一服となるも、その後も戻りを試すような動きは鈍かった。

材料としては原油相場の軟化、ドル高といった他マーケットがネガティブな動きを見せた影響を指摘することが可能である。ただ、本日の下げに関してはアジア・欧州タイムのレンジ加減を下抜いたテクニカル要因が下げ幅の拡大を促した面が大きく、地合の悪化というよりもテクニカル要因の影響が大きかった一日と考えている。

ただ、これで金相場は10月15日の1,191.70ドルをピークとしたダウントレンド形成を再確認しており、少なくとも雇用統計後の利上げ先送り観測を背景とした金相場の急伸地合には一定のブレーキが掛かっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が流動性供給を継続するとの見方からドル安・商品高が進んでいたが、ドルインデックスの戻り歩調、CRB商品指数の下げ歩調が、金価格に対してもネガティブな影響を及ぼしている。

なおネガティブな経済指標が出てくれば反発するリスクは残されており、上場投資信託(ETF)の残高増加傾向にも注意が必要。ただ、このままドル安・商品高傾向にブレーキを掛けていくことができれば、少なくとも急伸リスクは限定される。改めて売り込むには利上げ着手期待を盛り上げていくことが要求されるが、米雇用統計後の急伸地合が一時的な戻りであった可能性が高いことを再確認する局面に突入している。来週27~28日には米連邦公開市場委員会(FOMC)開催を控えているが、決め手難ながらも徐々に下げ再開の兆候は増えている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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