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NY原油16日:OPEC会合を警戒し、週末要因もあって反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油11月限 前日比0.88ドル高

始値 46.87ドル

高値 47.50ドル

安値 46.58ドル

終値 47.26ドル

21日に石油輸出国機構(OPEC)の技術会合を控える中、週末を前にしていることもありショートカバー(買い戻し)優勢の展開になった。

アジア・欧州タイムは46ドル台後半を中心に揉み合う展開になったが、ニューヨークタイムに入ってからポジション調整が活発化する中、プラス圏で引けている。引き続き過剰供給の長期化懸念を背景とした戻り売り圧力も強く、一時は46.58ドルまで上げ幅を縮小する場面もみられた。しかし、前日終値水準は維持したことで、その後は安値是正の動きが強まり、逆に上げ幅を拡大して引けている。

10月21日にはOPECの技術会合が開催される。石油市場の安定化を協議する予定だが、ベネズエラが70ドルを下値目処とした介入スキームを提示していることもあり、ややイベントリスクが警戒されている。ベネズエラは70~100ドルを誘導目標に、同下限で減産、同上限で増産を行う、かつてのバスケット価格型の高値誘導を目指している模様。

バスケット価格制度は、加盟国が生産調整枠を遵守しなくなったことで破綻してしまったが、原油相場崩壊の危機に晒される中、改めて政策的に高値誘導を行う議論が提起されている。ロシアがOPECとの協調に一定の理解を示していることもあり、敢えてイベントリスクが高まる中で売りポジションを拡大する必要はないとのムードに傾いた模様。

現実問題としては、仮に70ドルを下限価格として合意したとしても、各国が厳格な生産調整を行わない限りは、実際の減産にはつながらないことになる。また、原油価格が回復すればタイトオイルの増産圧力が強まるのは必至であり、国際原油需給が実際に均衡状態を達成できるのかも疑問視される。ただ、シェールオイルの採算分岐点が現状では40ドル台周辺にあることが確認され、一定の生産調整の動きが確認される中、OPECがサプライズ的な政策変更を行う可能性も僅かながら存在することは否定できない状況になっている。

基本的にはOPEC技術会合は無風通過を想定しており、原油相場の戻り売り基調には変化がないと考えている。ただ、米石油リグ稼動数が前週比-10基の595基と大きく落ち込む中、更に大きく原油安を進める必要性は乏しく、40ドル台を完全に割り込むような動きが見られるのであれば、リバウンド狙いで買いを入れても問題ないとみている。35~60ドル水準をコアとした安値ボックスを想定している。短期スパンで戻り売り対応を継続し、突っ込んだ局面で押し目買い優勢の地合に転換する見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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